お盆に入り、帰省や行楽などの計画を立てている人も多いのではないでしょうか。楽しい旅行でも、長時間の車の運転は意外と疲れますよね。車での長距離移動で疲れない運転の極意を、運転のエキスパートに聞きました。

山口県交通安全学習館・松橋正治警部補
「体が疲れてしまうとなれば、正確な判断・操作ができなくなることになりますので運転姿勢が大事になります」

正しい運転姿勢で疲労軽減

パトロールや取り締まり、事件事故などの緊急対応でパトカーに長時間乗車する警察官。警察内部のパトカー乗車についての資格取得では、まず、正しい運転姿勢から学ぶそうです。運転で大事なことは疲れないこと。疲れると反応や判断力が弱くなり、安全運転に影響します。

松橋警部補
「まずは腰ですね、シートの奥まで深く座ること。そのあとで足の位置シートの位置ですね、このシートの位置を調整してもらうと」

このとき、基準にするのはペダルに足がちゃんと届くか。特にブレーキは、いちばん奥までしっかり踏み込めるかが大切です。シートに深く腰掛けるのも、踏み込んだときに力が逃げないようにするためです。左足もしっかりとふんばれる位置になるよう調整します。

松橋警部補
「左足が結構重要になります。もし、左足に力が加わらないと遠心力のときに体がバランスを保てなくなります。確実に左足を置く場所がありますのでグッと固定することによって体が固定されます」

警察が取り締まりをする中で、安全を無視した運転姿勢も時々みられるそうです。ヘッドレストを外し、シートを倒して、片足をあげて運転する・・・。ドライバーが「楽な姿勢」と言い張っても、これは論外です。

松橋警部補
「からだの全部の力で操作するようになりますので、からだに疲労がたまると、疲れやすいという状況になりますので、乗るときは運転姿勢に十分気をつけていただきたいと思います」

では、正しい距離の取り方は?

松橋警部補
「ハンドルの上に両手を合わせてグッと押していただくようになります。そうするとシートに背中がつくんですが、そのときに肩甲骨と背中全体がシートにつくような、グッとつくような感じであわせていただけたらと思います」

「前のめり」には要注意

ハンドルを持つ手は10時10分と言われていましたが、最近は9時15分ともいわれています。運転姿勢について教習所では、最近、少し変化がみられているといいます。

そうごう自動車学校・三浦大志教官
「どうしてもちょっと前を気にして前傾姿勢になったり、ハンドルを抱え込んだりっていうことが多く見られますかね」

初めての運転でついたクセがそのままになっていることがよくあるそうです。

そうごう自動車学校・吉田日出三教官
「若干っていうか、相当前のめりになってますよね、ひじが邪魔をしてハンドル操作ができない状態になってます。当然うちの教習所でも、こういう運転姿勢はおすすめはしておりません」

この大学生は、身長が車にあっていないわけではなく、十分に手も足も届くはずですが、ついつい前に出てしまうといいます。

大学生
「斜めのところが見えなかったり、かかとがつかなかったりするから前にしてるんですけど、先生の指導であんまり前にしても変わらないことがわかったので、これからつなげていきたいと思います」

三浦教官
「自分自身が乗る車って、一度合わせてしまったらほとんど動かすことがないので、最初にやったっきりっていう方も結構多いと思うんで、いろいろ触ってみて、こう動くんだなとかやってみるのもいいと思います」

エアバックから身を守る

車の構造からも前のめりの運転姿勢は危険という声もあります。

JAF山口支部・近藤博嗣さん
「みなさんエアバッグが破裂した瞬間をそうそう見たことがないと思うんですけど、スピードが100キロから300というものすごく速い速度で展開することになります。使い方を誤ると凶器にもなりかねないという怖さがあるんですよね」

ハンドルを持つ手の位置が10時10分から9時15分となったのも、エアバッグで手をけがしないためという理由もあるようです。ハンドルまでの距離は車ごとに違いますが、それでも適切な運転姿勢であれば心配はないとしています。

安全運転で楽しい時間を

松橋警部補
「運転姿勢がやはり安全運転の第一歩にもなると思いますので、私たち大人が子どもたちの模範になっているという気持ちをもって、ふだんから交通ルール・交通マナーを守っていただければと思います」

家族や友達との楽しい時間を過ごすこれからの時期、疲れない正しい運転姿勢を身につけるいい機会かもしれません。

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