新たな犠牲者を出さないために…。過労自殺した医師の母親が裁判で労働環境の改善を訴えました。

 神戸市東灘区の「甲南医療センター」の専攻医だった高島晨伍さん(当時26)はおととし5月に自殺しました。労基署の調査では、時間外労働は200時間を超え、自殺した当日まで100日連続勤務だったことが判明していて、長時間労働が自殺の原因として労災認定されています。

 晨伍さんの両親は、病院の運営法人「甲南会」と具英成院長に対し、過重労働を認識しながら是正措置をとらなかったとして2億3000万円あまりの損害賠償を求める訴えを起こしていて、4月22日、大阪地裁で始まった裁判で、母の淳子さんが意見陳述を行いました。

 (母・淳子さんの意見陳述)『医師の労働環境改善は直ちに行われなければならない問題で、これ以上放置することは、新たな医師の過労死の犠牲者を増やし続けます。晨伍が身を賭して投げかけた、医師の労働環境の改善のために、この裁判が確固たるマイルストーン(転機)になることを切に願います』

 一方、病院側は「晨伍さんが病院にいる時間の全てが労働時間ではない。『専門医』になるための研修プログラムも含まれ、命令に基づく労働とは評価し得ない。自殺を予見できたのは、ほかでもない原告らのみだった」などと、全面的に争う姿勢を見せました。

 病院の主張について晨伍さんの母親は会見で…

 (母・淳子さん)「自分で調節できる自己研鑽(研修プログラムなど)で自殺するでしょうか。怒っているのは、具院長や上司らが、適切に(管理)監督していなかったことを正当化しようと思って躍起になっていることです」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。