性犯罪から子どもをどのように守るか。0歳~19歳が被害者の不同意性交等罪・不同意わいせつ罪の認知件数は去年、約3700件に上っています(警察庁の犯罪統計より)。しかし性被害は表に出にくいため、これは氷山の一角ではないかとも言われています。子どもたちを守るための最新の性教育とは?MBS河田直也アナウンサーが中学校を取材しました。

“生きる上での土台”となる性教育とは


 河田アナが訪れたのは、兵庫県明石市にある江井島中学校。性教育の講師を務めるのは、NPO法人「HIKIDASHI」の大石真那さんです。

 保健師の大石さんは4人の子どもを育てるママ。7年前に長男から「赤ちゃんはどうやって来たの?」と聞かれたのをきっかけに性教育に取り組み始めました。

 大石さんが教えるのは国際基準に基づいた「包括的性教育」と呼ばれるものです。

 (NPO法人HIKIDASHI 大石真那さん)「ベースには人権教育。子どもたちが生きていく上での土台として幅広く繰り返し学んでいけたらいいなと思います」

「包括的性教育」とは

ユネスコなどの国際機関が発表した、世界の性教育の指針である「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」がもととなった新しい性教育の考え方。生殖や避妊に関する知識だけでなく、ジェンダーの多様性や、多様な価値観、文化、家族の在り方など、人権をベースとした教育。

 生きていく上での土台となる性教育とは?この学校では年に1回、性教育の講演を行っていて、今回は中学3年生と一緒に河田アナも学びます。

 講演は60分。主なテーマは「“愛の12段階”とは」「NOと言う権利」「性感染症のリスク」の3つです。

ぼやかした言葉ではなく“はっきり”と伝える

 (講演する大石真那さん)「これから恋愛とか、セックスについてお話をしていきたいと思います」

 授業が始まってまず出たのは、このドキッとするワード。包括的性教育では、ごまかしたりぼやかしたりせずはっきり伝えることが大切だと言います。

 そして恋愛関係を「12」の段階に分け、イラストを使って講義を進めていきます。

 (講演する大石真那さん)「大切なポイントは3つあって、1つ目は1番(目視する)から12番(セックス)まで必ずしも順番に進むわけではないということ。そして2つ目、付き合っているからと言って、必ず12番(セックス)までしなければいけないこともない。3つ目がとても大切で、自分はここまでしたいと思っていても、相手はそうじゃないかもしれないから、きちんとお互いの気持ちを確認しあうことがとても大切です」

 “愛の12段階”をきっかけに人と付き合うとはどういうことなのかを知ってほしいと考えています。

自分を守るため「NO」と言うのは立派な権利

 そしてもう1つ、包括的性教育で大切なことが、NOと言う権利。嫌だと言えることが自分を守るためにはとても大切になります。

 (講演する大石真那さん)「境界線、NOという権利、そして同意が日常生活においても大切ですし、(嫌と言われたとしても)嫌だというのはあなたのことを嫌いなわけではなくて、そのときその瞬間、提案されたことが受け入れられないだけ。なので、相手が嫌だと言ったときの気持ちを受け入れる練習をちょっとずつしていってほしいなと思います」

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