5月中旬、札幌市豊平区で、青信号で横断歩道を渡っていた小学4年生の男の子をワゴン車ではね、死亡させた罪に問われている64歳の男の裁判…札幌地裁は2日午前、禁錮2年6か月の実刑判決を言い渡しました。

 起訴状などによりますと、札幌市豊平区の会社員、花田光夫被告64歳は5月16日午前8時20分ごろ、自宅近くの市道の丁字路交差点で、意識もうろうの状態でワゴン車を運転、青信号で横断歩道を渡っていた小学4年生の男の子をはね、死亡させた過失運転致死の罪に問われています。

花田被告のワゴン車

 これまでの公判で、花田被告は「私自身は記憶なく、警察の調査の現場検証とかした感じでは、間違いない」などと話し、おおむね起訴内容を認めました。

検察は、禁錮4年を求刑

 検察は、糖尿病を患う花田被告が通院を半年も怠った上、事故前、インスリン注射を打っていたのに、食事をとらずに運転した状況などを下記のように指摘し、禁錮4年を求刑。

現場は、片側1車線の見通し良い丁字路交差点

 弁護人は「飲酒運転などの無謀な運転を伴うものではなく、今後、被告人は運転するつもりはない。社会内での更生が必要」として、執行猶予付きの判決を求めました。

男児の父親も法廷に立ち「事故ではなく、無差別な殺人事件」

 公判では、被害者参加制度に基づき、亡くなった男の子の父親も法廷に立ち「事故ではなく、64歳の悪人による無差別な殺人事件。法律で与えられる最大の刑罰を与えていただきたい」と述べていました。

 こうして迎えた2日午前の判決公判で、札幌地裁は禁錮2年6か月の実刑判決を言い渡しました。

■検察の冒頭陳述

・2013年から糖尿病を患い、インスリン注射で血糖値をコントロール
・医師から5週に1回の通院治療の指示
・去年10月30日を最後に通院なく、自己判断で血糖値をコントロール
・事故前日の5月15日、体調不良で注意力が欠け、札幌市白石区で追突事故 
・事故当日の16日、前日より体調悪化
・それにも関わらず、インスリン注射後、食事とらずに出勤のため運転
・認知や判断能力が低下の状態でガードレールに衝突後、男の子をはねる

■弁護人からの被告人質問

・(なぜ、仕事を休まなかった?)入ったばかりで、ずっと抱えていた仕事があった
・運転前にインスリン注射したが、昔から朝食とることない
・缶コーヒーは飲み、買うまでは覚えている
・子どもたちが倒れているのを見て「俺がやったのかな」と
・病院に行き、注射して食事とれば防げたのが悔しい
・(遺族に対しては?)謝りたくても、謝りきれない
・自分にも子どもが3人いるので、同じ立場だったらすごく悔しい

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