住まいがない人が生活保護を申請すると案内される施設が劣悪だとして、若者の貧困問題に取り組むNPO法人「POSSE(ポッセ)」が29日、東京都内で記者会見し、生活保護事務を担当する各福祉事務所にアパートの提供を徹底するよう求めた。

◆「預金通帳奪われた」「セクハラは日常茶飯事」

施設の劣悪さを訴えるPOSSE関係者や入居男性(右)ら=東京都千代田区で

 生活保護法で生活費などを給付する生活扶助は、居宅での実施が原則とされる。本人の意思に反した施設への入所を禁じているが、ポッセには前年度、施設に入らないと生活保護を受けられないと言われたり、入所させられたりしたとの相談を15人が寄せた。  「施設管理者に預金通帳と印鑑を奪われた」「セクハラが日常茶飯事」といった声や、生活保護の申請自体を諦めた人もいた。

男性が入居した汚れたゲストハウス(男性提供)

 都内の自治体からゲストハウスを案内された40代男性は会見で、部屋に冷暖房がなく、カビやほこりでひどく汚れていると説明。「生活困窮者も一人の人間であることを保障して」と訴えた。岩本菜々理事(25)は「行政が、自立困難な状態に追いやる貧困ビジネスの施設に入れさせるのは人権侵害」と述べた。(中村真暁) 

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