「蛍光灯2027年問題」をご存知でしょうか?2027年末を持って「蛍光灯」の製造と輸出入が、ある環境問題を理由に禁止されることに伴う問題です。生活を温かく照らしてきた「蛍光灯」との別れ、その理由と影響について詳細情報です。

【住吉光アナウンサー(以下:住)】長崎の暮らし経済ウイークリーオピニオン。今回のテーマは「LED化を進めよう!蛍光灯2027年問題」です。平家達史NBC論説委員(以下:平)とお伝えします。

【住】LED化は環境に配慮した取り組みだと思いますが「蛍光灯2027年問題」とは、どのような問題なのでしょうか?
【平】蛍光灯の製造と輸出入が2027年末で禁止されます。その後も蛍光灯を使用し続けることはできますが、在庫がなくなり次第、交換用の蛍光灯が入手ができなくなるという問題です。

【住】何故、製造や輸出入が禁止になるのでしょうか?
【平】蛍光灯には、水俣病の原因物質ともなった「水銀」が微量ですが使われています。この水銀による健康被害や環境汚染を防ぐために水銀の使用や排出を規制する国際的な規制が導入されたためです。

2017年に発効された「水銀に関する水俣条約」で電池や体温計などの水銀含有製品の製造や輸出入が原則禁止となりました。蛍光灯の一部は規制対象外でしたが、去年11月の水俣条約第5回締約国会議で、全ての一般照明用蛍光灯の製造や輸出入を段階的に禁止することが決まりました。

いつ禁止になる?種類ごとに違います

【住】「段階的に」とのことですが、どのような段階で禁止されていくのでしょうか。
【平】蛍光灯の種類は大きく分けて「直管形」「環形」「コンパクト形」「電球形」がありますが

〇「コンパクト形」「電球形」…2026年末まで
〇「直管形」「環形」(三波長系)…2027年末

に製造・輸出入が禁止されることが合意されています。

【住】2027年末までに全ての蛍光灯の製造や輸出入ができなくなるんですね。
【平】どれくらいの人が蛍光灯を使っているのか、街の声を聞きました。

80代「2027年?いや聞いてない。いまだに蛍光灯ですけど。今のところまだ必要に迫られないと(LEDに)しないですね。」
60代「LEDです。電気代が安いし、長持ちするから。」

60代「リビングはLEDですね。あーどっちでもいいです。灯がつけば」
30代「(蛍光灯とLEDは)半分半分。もし改装するなら全部LEDに交換しようかなーって。」
60代「LEDです。電気代が安いし、長持ちするから。」

【住】私はマンション暮らしなので、LEDですが・・・
【平】LED化はなかなか進んでいません。日本照明工業会などが去年8月に、全国1万人を対象に照明に関するアンケート調査をしたところ、家庭の照明のLED化率は52.8%でした。

照明器具を交換しない理由として、
「今使っている器具で問題ないから」…39%
「壊れていないから」…38%
「値段が高いから」…21%
壊れるまで使うという意識も、LED化が進まない理由の1つになっているようです。

電気店に増える依頼 4カ月で100件以上

【住】蛍光灯からLEDにするためには、接続器具がLEDに対応していなければ工事が必要ですよね?
【平】長崎市にある電気店には、LEDに関する相談や依頼が増えているそうです。

長崎市にある電気店「安心電気」には、照明をLEDに変えるための相談がおよそ4か月で100件以上寄せられています。この日は、蛍光灯の器具をLED用に交換するための工事の依頼を受けました。

「こんにちは。お願いします。お世話になります。」
長崎市の池田さんの住宅では、一部屋だけが長年、蛍光灯のままでした。

池田克博さん「愛着があったっていうか。この部屋がおふくろの部屋だったんで、おふくろがずっと居る時に使っていた蛍光灯をどうしても残していてあげたいなっていうのがあったんですよ。ただし物(蛍光灯の製造が)できないから。LEDにしないと。」

工事はおよそ15分で終了。池田さん宅は、全ての部屋がLEDになりました。

池田克博さん「明るいですね。環境問題とか、あと電気代も安くなりますからね。」
池田絹代さん「2027年っていってもすぐ来ますからね。もう早くした方がいいかなと思って。」

電気料金の節約にもつながるとして、「安心電気」ではLEDへの交換を勧めています。

安心電気 岡村諭拓店長:
「蛍光灯よりもLEDの方が電気がもつ寿命が長いと言われていまして、また消費電力というところで、電気代も抑えられる。先々を見据えた場合にLEDに交換した方がメリットは大きいかなという風に思います。」

蛍光灯は「値上がり中」80%~130%↑

【住】蛍光灯の製造や輸出入が禁止されると、価格にも影響してくるんでしょうか?
【平】蛍光灯は販売数量が減って、蛍光灯1本あたりの製造コストが上がっていることに加え、原材料価格・物流コストの上昇などが重なり、軒並み値上がりしています。

現在蛍光灯を製造しているパナソニックは、去年10月、一般色の直管蛍光灯をおよそ80%値上げしています。東芝ライテックも、去年10月から一般色の直管蛍光灯をおよそ90%値上げし、ホタルクスでは、今月から直管・環形の蛍光灯などをおよそ130%値上げしています。

【住】LEDは価格が高いという印象がありましたけど、その後の電気代等を考えると、導入のタイミングを考える時期なのかもしれませんね。
【平】日本照明工業会によりますと、2023年度のLED化率は59.5%で、2030年度までにLED化率100%を目指して普及活動を続けています。LEDを身近に感じてもらおうと今月から新しい取り組みを始めました。

LEDを導入した場合のメリットを知ってもらおうと、日本照明工業会が立ち上げたWEBサイトです。家の電灯をすべてLEDに変えると消費電力がどれくらい減って、節約・省エネに繋がるのかが試算できます。

日本照明工業会企画部 森川直紀部長:
「簡単にシミュレーションで家についている照明器具をLEDにかえると『どんなお得があるか?』省エネや電気代が下がるというメリットを簡単に見てもらえるように作っています。生活が新しくなる、豊かになることも体感いただいてぜひLED化を進めていただければと思います。」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。