登校中の女子児童(当時12)に対し、性的な暴行を加えるなどした20歳の男に対し、福岡地裁は、懲役6年6か月の判決を言い渡した。

被害後、女子児童は、父親とふたりでいることさえできなくなった。

時には聞いているのがつらくなるほどの法廷が突きつけたのは、性暴力が及ぼす被害の残酷さだ。子供に残す傷はあまりにも大きい。


◆朝の通学路 後をつけられ


事件は、去年11月、小学校の通学路で起きた。

判決によると、午前8時40分頃、福岡県宗像市の無職・八並孝徳被告(20)は福岡県内の路上で、1人で登校していた女子児童(当時12)の口をふさぎ、性的な暴行を加えた。

女子児童の供述調書「後をつけられて、怖くなって逃げたら、口を抑えられた。大声を出したら『包丁で殺す』と言われ、下着を全部脱がされた。途中でバスが通って中断し、『(学校の)裏門に行こう』と言われた。言うことを聞かないと殺されると思った」



◆女子児童は「夜もひとりになることができなくなった」


検察側によると、被害を受けた女子児童の父親は「娘は昼でも夜でも1人になることができなくなった。男性に恐怖心を持つようになり、父親の私とでも2人きりになれない。(被告が)刑務所に行っても、娘の傷が癒えることはない。絶対に許せない」と話しているという。



◆被告はなぜ小学生を襲ったのか「一生傷が残りやすいように性行為を」


今年2月、福岡地裁で開かれた初公判で、八並被告は不同意性交等の罪について「間違いありません」と起訴内容を認め、弁護側も争わない姿勢を示した。

八並被告の供述調書「仕事を辞めて自暴自棄になり、誰かを傷つけたいと思うようになった。殴る蹴るより一生傷が残りやすいように性行為をした」

5月31日に行われた被告人質問。うつむきながら入廷した八並被告は、質問に対し、何度も口ごもりながら答えた。

八並被告は、事件の約4か月前、去年7月に仕事を辞めたと話した。

八並孝徳被告「自暴自棄になって辞めました」

無職になり持て余した時間には、動画配信サイトで動画を見るなどして過ごしていたという。



◆「誰かを巻き込んで自分自身も死のうと」「襲わなきゃという強迫観念があった」


事件当日の去年11月29日。午前0時頃に家を出て、犯行時刻の午前8時40分頃まで、街を徘徊していたという八並被告。

八並孝徳被告誰かを巻き込んで自分自身も死のうと思って、誰かを傷つけようとしていました。たまたま近くを通りかかった女子児童を見つけました

弁護士 なぜ犯行に及んだ?

八並孝徳被告 理解されないと思うんですけど、『襲わなきゃ』という変な強迫観念はあったと思います


◆逮捕までの1週間「死のうかと」「自分がされたらと思うと震える」


八並被告は、犯行から1週間後の去年12月5日に逮捕された。逮捕までの1週間について問われると、「死のうかと思ったんですけど、怖くなって迷っていました」と答えた。

逮捕後、毎日被害者に宛てて謝罪文を書いていると話した。

弁護士 被害者に対してはどのような気持ちですか?

八並孝徳被告 まずは申し訳ないという気持ちが一番。罪と向き合う中で自分がされたらと考えると震えるところもあったので、それを忘れずに生きていこうと思います

弁護士 社会復帰後はどのように生きていきますか?

八並孝徳被告 傷つけてしまった被害者のことを1日たりとも忘れずに自分自身も一生懸命働いて生きていきたいと思います

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