今年のインターハイで、県代表として全国に挑む和歌山南陵高校のバスケットボール部。

実は4年連続全国出場の強豪です。

みなさんの出身地は…

(部員)
「名古屋市です」
「愛知県知立市です」
「ナイジェリア」

全員県外からバスケ留学してきた選手ばかり。しかし、実は部員はこの6人だけ。バスケの公式試合は5人制のため、控え選手は1人だけというギリギリのチーム事情。

しかし、練習環境はもっと厳しい状況です。

トイレの天井からは大量の水 浴室はヒビだらけ

(バスケットボール部 和中祐輔監督)
「カーテンに所々穴があいている。シュートを打つときにまぶしくて、ゴールが見えないということもある」
「コートが狭い。3ポイントラインとハーフラインの長さがものすごく短い。縦が3~4メートルは短いのかな」

しかし、これは序の口。彼らが暮らす寮はもっと劣悪な環境でした。

雨が降ると、トイレの天井から大量の水。

(大石邦彦アンカーマン)
「4階の天井が見える…」

さらに、浴室は…

(大石)
「ええ!?タイルがはげてる」
「正直、肝試しみたいな感じ」

こうなった背景には以前の、ずさんな学校経営が。

給料未払いで教職員の全面スト&生徒の募集停止

少子化で定員割れが続いた中、おととしには給料未払いで教職員の全面ストが起こり、生徒の新規募集も停止に。

設備の改修も出来ず老朽化が進んでいた中、今年4月に学校経営を引き継いだのが大分県でコンサル会社を経営する、甲斐三樹彦さんでした。

(和歌山南陵高校 甲斐三樹彦理事長)
「自分も引き継いだ時に、帳簿を見て『うわ…』と正直思いました」

(大石)
「借金はどれくらいあった?」

(甲斐理事長)
「2億5000万。プラスその他、諸々の滞納金があったのでざっくり言うと、5億とか」

実は以前にもここで働いていましたが、ずさんな経営に抗議して解雇されたという甲斐理事長。生徒たちを救いたいと理事長を買って出ましたが、自分の持ち出しや寄付金だけでは難しいのが現実です。

(甲斐理事長)
「生徒と同じ環境に住んで、同じものを食べないと何が問題か分からない」

自分も寮で暮らし、ほかの教職員と草刈りやできる範囲での簡単な補修を行うなど、環境改善に取り組んでいます。

浴室の椅子も以前はカビだらけ…「最低限清潔な環境に」

(甲斐理事長)
「この(浴室の)椅子なんかは買い換えたんですが、前はカビだらけで、子どもたちは椅子が変わっただけで喜んでいた」
「必死に頑張る大人の姿を子どもにも見せたいし、最低限清潔な環境にはしてあげないといけない」

ほかの教職員も…

(大石)「仕事量は増えました?」

(教職員)「増えました。きついかといわれたら、きついんでしょうけど(やるべきことを)自分で探してやっているので」

(教職員)「やめていく先生を見ていく中でも、自分は今いる子たちのためにできることを。もちろん給料は少し減ったし、作業も多い。つらいことも多いんですけど、決して嫌と思ったこともない」

環境悪化の中、生徒は次々に転校していき気づけば全校生徒は18人。

バスケ部も6人だけに。それでも頑張ってインターハイ出場を勝ち取りました。

キャプテンは名古屋市出身の二宮有志くん。

(二宮有志キャプテン)
「愛知って中部第一高校(日進市)や桜丘高校(豊橋市)など強い高校があって、そっちに行ったら試合に出られないかなと思って、こっちに来たら全国大会にも出られるし、試合にも出られる」

酒井珀さんは、愛知県知立市出身。

(酒井珀さん)
「全国大会に出られるかなと思って。和歌山だったら、確実かなと」

身長は2m6cm。ナイジェリアからの留学生、アリュー・イドリス・アブバカさんは、アメリカの高校からもスカウトされていましたがコロナ禍で行けず、ここへ来ることに。

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