被害者・加害者の同級生:
「(被害者になった)彼女は誰とでも明るく接してくれてですね。本当オンオフがしっかりしていると言いますか。真面目な所は真面目にやって…今生きてたらどんなことしたんだろうとか思います」

2014年7月、長崎県佐世保市で当時高校一年生だった女子生徒が同級生を殺害した事件から26日で10年。被害者と加害者は同じ学校の同級生でした。

同級生:
「学校に登校したら隣のクラスから急に2人がいなくなってたので、なんていうんですかね当時の自分を本当に受け入れられない…」

長崎家裁決定要旨より・非行に至る経緯
【高校に進学し、少女はマンションで1人暮らしを始めた。少女は高校に通学せず、その時間で図書館に通い、過去の少年事件・審判を調べ、未成年者の場合は死刑になる例が少なく、16歳を超えると刑事罰を受ける可能性が高くなることなどを知り、16歳になる前に殺人や解体の実行を決意した】

【少女を診察していた医師が少女の特性に気づき、放置すれば殺人に至る危険があると判断し、14年6月10日、児童相談所へ電話で相談したが対応を取り付けられなかった】

【父はこの時、少女が猫を殺していると知ったが、児相や警察への相談をためらい、少女が1人暮らしを続けることを認めた】
【7月25日、父は医師から少女が人を殺す危険があるので相談するように促され、児相に電話したが時間外で相談できなかった。7月26日、少女は女子生徒を自宅で殺害、遺体を損壊した】

体の中で、自分では制御できない殺人への欲求が膨れ上がっていく中、元少女は「16歳になると処分や刑罰が重くなる」ことを調べ上げ、綿密・周到に準備して欲求を実行へと移しました。

少年審判を経て元少女は医療少年院へと送られました。家裁の決定要旨の処分理由には【殺人や死体解剖の欲求を満たすため、少女を信頼して無防備だった友人に突然襲いかかり、想像を絶する苦しみを与えながら生命を奪い、遺体をもてあそび、人の尊厳を踏みにじった快楽殺人。その残虐さ、非人間性には戦慄を禁じ得ない】

【被害者の無念さや苦痛は筆舌に尽くしがたく、遺族らは和らぐことのない悲しみ、やり場のない怒りに苦しみ続け、厳罰を望んでいる】と書かれています。

加害元少女の父親の知人:
「僕は最初●●の娘が被害者だと思ったんですよ。私もそうだったし結局担当した弁護士も被害者側と思って初め受けてるんですよ」

加害者となった元少女の父親の友人だった男性です。
元少女の父親の知人:
「最初は噂レベルで日曜日(翌日)の朝方に聞きました。動揺と言うか何が何だか分からない感覚だったですね。それから1時間もたたないうちにその父親から電話が入って。事件のことを言うのかな?と思ったら事件の起こった翌々日に同級生で飲む約束をしてたのでそれが自分が行けないという風な話を淡々とした電話だったので娘がどうこうという話じゃなかったですね…」

男性は元少女のことも小さい頃から知っていて「ちょっと変わった子だな」という印象を持っていたといいます。

元少女の父親の知人:
「加害者の子の実のお母さんがですね、亡くなった時に自宅での仮通夜、そして会館での通夜・葬儀って行った中で何か普通の子と違うなっていうイメージはあったんですよ。普通の中学3年生だったら自分の愛する母親が亡くなって泣きじゃくると言いますか冷静な判断ができない、ただ悲しい悲しいだけだと思ってたんですけれども、結局仮通夜から葬儀までの間に彼女は涙もなかったですもんね。涙だけじゃなく彼女はなんかすごい色んなものを観察しているように感じたんですよね」

事件発生からおよそ3か月後、元少女の父親が自宅で死亡しているのが見つかりました。遺書は見つかっていませんが自殺とみられています。
父親は娘から金属バットで殴られたことについて教職員に口止めしたとされています。

父親の友人の男性は「元少女は母親のことが大好きで母の死後、再婚した父のことは憎んでいた」ーそう思っていました。しかし母の葬儀で涙を流さなかった元少女が父の遺体を前に泣いていたと聞いて混乱したといいます。

元少女の父親の知人:
「私は直接その場を見ていないんですよ。そういう話を聞いたんです。お寺に連れていかれてそこで父親の遺体を前に骨の状態かもしれないですけれどもすごく泣いたというですね。どっちに愛情があってそっちがなかったということでもないのかな。母親が亡くなった時はまだ普通に家の中に家族でいた。今度父親が亡くなった段階では自分だけ留置されて孤立している状態で、その中で知らない所で父親が命を絶ったと。その環境の違いじゃないかなと言う様な気はします」

男性は事件をきっかけに大学に社会人入学し「心理学」を学びました。元少女の心を理解する術を得たいと思ったからでした。

元少女の父親の知人:
「起きた事件の中味とか、それまでの彼女の行動とか、自分の人間理解の中では分からない部分だった。」
Qその謎は解けましたか?
「解けないですね」(3回目へ)

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