フィリピンの東海上の低圧部は “台風の卵”か 今後熱帯低気圧に発達も

今年は今のところ発生のペースが遅くなっている台風。平年の台風発生数は、6月は1.7個、7月は3.7個となり台風シーズンに入ってきますが、今年は5月31日午後3時に台風2号が発生して24時間後に台風でなくなってから、1か月以上台風が発生していません。すでに台風3号の発生するタイミングとしては、気象庁が統計を開始した1951年以降で遅い方から7番目以内の遅い発生となっています。

ここにきて台風の卵となるかもしれない雲のまとまりがで出てきました。16日夜の衛星画像をみると、フィリピンの東海上でまとまりつつある雲域が、今後、熱帯低気圧へと発達する可能性があります。

気象庁が週間天気予報の作成に用いる資料の一つであるアンサンブル予報でも、来週になると南海上に熱帯じょう乱の可能性を示す予想も一部に見られるようになっています。

では、この雲域が熱帯低気圧、さらには台風3号へと発達する可能性はあるのでしょうか。アメリカとヨーロッパの予報機関の予想を見てみます。

アメリカ海軍の台風情報では監視対象に 熱帯低気圧に発達の可能性

アメリカ・ハワイにあるアメリカ軍の合同台風警報センター(JTWC)の情報です。ここでは監視すべき対象となりうる熱帯低気圧についての情報や台風となった場合の警戒情報などが表示されます。

16日午後3時の発表で、黄色の丸で表示されたエリアについて情報を発表しています。この雲域がJTWCの監視対象となったことを意味していますが、24時間以内に基準以上の熱帯低気圧に発達する可能性は低くなっています。

JTWCでは、監視対象の雲域が定めた基準以上に発達すると予想される場合に、LOW(黄)→MEDIUM(オレンジ)→HIGH(赤)へとレベル分けした形で情報を発表します。赤色になると台風の発生時期に近づいた目安となります。それぞれの意味は以下の通りです。

LOW(黄):監視対象ではあるが、今後24時間以内に基準以上の熱帯低気圧に発達する可能性は低い
MEDIUM(オレンジ):今後24時間以内に基準以上の熱帯低気圧に発達する可能性も高まっているが、発達するには24時間以上かかる見込み
HIGH(赤):今後24時間以内に基準以上の熱帯低気圧に発達する見込み

アメリカ海洋大気庁の予想では、フィリピンの東海上で熱帯低気圧が発生する予想はあるものの、まだ進路予想はまったく定まっていません。いくつものラインが描かれているのはアンサンブル予報よいう手法です。数値予報の計算に使う最初の値をわずかに変えたものを複数計算した結果を示しています。進路予想の結果はバラバラでまだ予想が定まっていないことを示しています。

ヨーロッパの予想 来週熱帯低気圧へ発達して北上か

ヨーロッパ中期予報センターが発表しているデータです。予想した日時の48時間以内に風速17m/s以上の熱帯低気圧が300km以内エリアに入る確率を示した予想図です。

来週23日(火)はフィリピンの東海上でやや確率が高くなってくるエリアがみられます。

25日(木)になると南西諸島付近を中心に確率がより高くなるエリアも現れます。ただ確率的には30~40%程度なので熱帯低気圧となって接近する確率がとても高いというわけではありません。

最終的に熱帯低気圧へと発達するのか、さらにそれが台風3号となるのかはハッキリしませんが、まもなく本州付近は梅雨もあけて夏本番となり、台風シーズンも本番を迎える時期となりそうです。

※正式な台風に関する予報については気象庁が発表する情報を確認してください。

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