東京都杉並区のマンション上階にある花壇でカルガモが卵を産み、じっと温めている。卵は確認できただけで9個。住民は「無事に産まれて川にたどり着けるのか」と見守っている。専門家によると、こうした場所でカルガモが卵を産むのは珍しい。

◆時期も場所もレア 住民はカラスの捕食を心配

 住民が卵に気付いたのは13日朝。最上階の5階へ続く屋外階段の踊り場にある花壇の茂みに、親鳥が巣を作り、卵もあった。住民の女性(70)は「『なんでこんなところに?』とびっくりした。カラスもいるし…」と不安そうに話す。

マンションの花壇に巣を作り、卵を温めるカルガモ

 鳥に詳しい東京大名誉教授の樋口広芳(ひろよし)さんは「カルガモがマンションの階段踊り場で営巣するのは珍しい。聞いたことがない」と驚く。通常は4月ごろ、池や川周辺の草むらに卵を産む。「時季も遅い。高い場所で人通りも限られているので安全と思ったのかも」。天敵はカラスで捕食される危険がある。

カルガモの親鳥が温めていた卵(住民提供)

 卵を温め始めてからふ化までに25~28日かかる。樋口さんは「親鳥に連れられて階段を下りることになるだろう」と話した。(奥野斐) 

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