特定秘密の不適切な取り扱いやパワハラなど、相次ぐ不祥事を受け、防衛省はきょう、関係者218人を処分すると発表しました。陸海空の自衛隊トップらが一斉に処分される、極めて異例の事態です。
木原稔 防衛大臣
「国民の皆様に深くお詫び申し上げます」
防衛省・自衛隊で相次いだ不祥事。“過去最大規模”の大量処分となりました。
対象となったのは、▼「特定秘密」の漏洩で113人、▼潜水手当の不正受給で74人のほか、▼自衛隊施設での不正飲食や▼パワーハラスメントに関わったとされる、防衛省・自衛隊の幹部や隊員らあわせて218人です。
さらに…
酒井良 海上幕僚長
「(7月19日付で)海上幕僚長の職を辞し、退職することとなりました」
海上自衛隊のトップが減給のうえ、事実上の更迭となったほか、増田事務次官や吉田統合幕僚長ら5人も訓戒処分となりました。
防衛省の不祥事をめぐる“大量処分”は過去にも…。
防衛省 町田一仁 人事教育局長(当時) 2022年
「深く謝罪をいたします。大変申し訳ございませんでした」
元陸上自衛隊の五ノ井里奈さんが複数の隊員からの性被害を訴えたことを受け、防衛省は2年前、特別防衛監察を実施。多数のパワハラやセクハラが確認されたとして、245人が処分されました。
また、2017年、陸上自衛隊の南スーダン派遣時の日報が隠ぺいされていた問題では、当時の稲田防衛大臣が責任をとる形で辞任したことも。
今回の多岐にわたる不祥事の背景について、木原防衛大臣は。
木原稔 防衛大臣
「当事者たちの遵法精神や倫理感の欠如、使命の自覚や厳正な規律の保持、そういった基本的な心構えが著しく欠けていた」
海上自衛隊の潜水手当をめぐっては、潜水した時間など記録の改ざんが常習的に行われ、不正受給額はおよそ6年間で4300万円に上りました。
また、自衛隊の施設では3年間で22人が“無銭飲食”を行い、最も多い隊員で921食分、30万円の代金を支払っていなかったといいます。
一連の不祥事について、外遊中の岸田総理は。
岸田総理
「国民の皆様にご心配をおかけしていることにお詫びを申し上げなければならない」
こう謝罪しましたが、木原防衛大臣については続投させる考えを明らかにしました。
政府は「防衛力の抜本的強化」を掲げ、5年間で防衛予算をおよそ43兆円にするとしていますが、国民の不信感が高まる中、今後、防衛増税の議論に影響が出る可能性もあります。
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