様々な種類の大容量商品がずらりと並ぶ、大型会員制スーパー『コストコ』。

もしも営業中に浸水したら…客の避難は?商品はどうする?コストコが進める災害への備えを取材しました。

浸水の危険性と隣り合わせの店舗

熊本県御船町を流れる御船川は、1988年5月に堤防が決壊し、1000戸を超える家屋が浸水被害を受け、去年(2023年)7月には大雨の影響で、堤防決壊の恐れがある水位まであと7センチに迫りました。

コストコ「熊本御船倉庫店」は、氾濫の危険性が高いこの川のすぐ近くにあります。

記者「コストコには、きょうもたくさんの人が訪れています。ここで、命を守る防災への取り組みが始まりました」

この店舗で今年5月から始まったのが、災害時の被害を最小限にする『BCP=事業継続計画」の作成です。

国土交通省の協力のもと開かれたワークショップには、店舗の運営や商品管理などを担う従業員が参加しました。

AR機能で見た店内は…

熊本河川国道事務所によりますと、店舗が浸水する確率は1年間で3.3%。従業員は、タブレットのAR機能を使って浸水被害を体験しました。

従業員「1.5mだと我々の目線くらいのところまで来る。2mになると浸水してしまう」

国の想定では、店内の浸水は最大で3メートルから5メートル、水がはけるまでに半日から1日ほどかかります。

実際この場所では、去年7月の大雨で入り口に水が迫りました。

当時は急いで「土のう」を準備しましたが…

従業員「前日に探しに行ってもどこのホームセンターにもなくて」

従業員「商品で代替するしか今の時点では方法がない。売り物だけれどもお米をビニール袋に入れて、土のう代わりにして置く」

店内に保管できる数にも限りがあり、建物の浸水対策が喫緊の課題となっていました。

対策は

そこで、コストコは新たに土のう100袋や米袋、防水テープを事前に準備し、災害のリスクが高まったときには、レジなどの電源、家電や宝石などの高額商品を優先して移動させることを決めました。

従業員「エントランスと出入口で土のうを4袋ずつ、計8袋を準備しておく」

さらに、休日には1日1万人以上が訪れる大型スーパーならではの最優先課題もあります。営業時間の判断や、来店客と従業員の安全確保についてです。

従業員「以前私がいた広島店は、結構店の周辺が冠水しているのに夜8時の閉店まで開けていて、道路が冠水している中で帰った」

従業員「危険水位があんなにガバッと上がってくるんだったら、どの時点で店を閉めたらいいかがわからない」

こうした対応をどのタイミングで行うのか?話し合いの結果、「大雨の警戒レベル」をもとに、新たな基準を設けることにしました。

≪コストコ 水害版BCP(第一版)より≫

【町の避難指示発令】閉店の準備
【警戒レベル4】来店客と従業員の避難開始
【警戒レベル3】土のうを積む、商品を移動、来店客に注意を呼びかけ

最後に「荷受け場」「出入口」など各業務に担当者を割り振り、コストコの災害への備え『水害版BCP』が、ひとつの形となりました。

熊本御船倉庫店 小柳陽 店長「一番感じたのは、国の想定よりも自分たちの想定する被害は少なく見積もってしまうこと。『実際はこういうことが起こる』というのを教えてもらい、修正することができた」​

コストコは今後、今回のBCPを活用して訓練を進めることにしています。

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