「孑孑」

よく見ると「子」ではなく「孑」です。
「孑」は、音読みで「ケツ・ゲツ」、訓読みで「ひとり」と読みます。

この「孑」を二つ重ねた「孑孑」の読みは「ボウフラ」。蚊の幼虫です。
「けつけつ」とも読み、一人抜きんでたさま、孤立するさま、小さいさまを表します。

「ボウフラ」とパソコンやスマートフォンに入力してみると、変換予測にちゃんと「孑孑」が出てくるはずです。

(※この記事もしくは画像ギャラリーに、ボウフラの画像があります。苦手な人は注意してください)

ちょっとクリオネっぽい??逆立ちしているので「頭は下」

さて、やがて蚊となる「孑孑(ボウフラ)」。ボウフラのうちに駆除したいですね。

害虫駆除の専門家、東洋産業の大野竜徳さんは「ボウフラの天敵がいる」と教えてくれました。

ボウフラの天敵はメダカにそっくり その名も「カダヤシ(蚊絶やし)」 

ーボウフラを食べてくれるような、人間にとって都合の良い生物はいるのでしょうか。

(東洋産業 大野竜徳さん)
「ボウフラは自然界では水の中に溜まった有機物やバクテリアを食べて分解し、水を浄化することが知られていますが、そのほかにも自分がエサになることでほかの生き物の手助けにもなっています」

ボウフラの密集…

「蚊を食べる『天敵』にはいろいろな生き物がいて、さまざまな水生昆虫(ゲンゴロウやタイコウチ、ミズスマシ、ヤゴ、ミズカマキリなどの仲間)、メダカやフナなどの小型魚類など、水にいる生き物はボウフラをエサにするものが多いですね」

「もともと日本にいなかったものが蚊対策などとして連れてこられましたが、在来の生き物を脅かすことから現在は特定外来種に指定されている有名な魚、メダカにそっくりだけどグッピーの仲間、その名も『カダヤシ(蚊絶やし)』なんていう魚もいます。」

「皆さんのまわりで、メダカかな?と思ったら見比べてみてください。尻びれが一番わかりやすいですが、長方形の長い尻びれがあるのがメダカ、尻びれが小さいのがカダヤシです」

「カダヤシのオスの尻びれはなんと交尾器に変化しています。ちなみにカダヤシは卵ではなくて直接子どもを産んで増えます」

蚊にそっくりな「カクイカ(蚊喰い蚊)」 幼虫がボウフラを食い尽くす!

ーボウフラはエサとしての需要は結構あるのですね。

(大野さん)
「カクイカという天敵もいます。おそらく皆さんの目の前に現れたらやっつけたくなる蚊そのものの姿ですが、人間の血には興味なし、幼虫はボウフラを襲って食い尽くすボウフラ、カクイカやオオカの仲間も天敵です。カクイカは『蚊喰い蚊』といって、幼虫はボウフラを襲います」

「このカクイカのボウフラをよく見てみると立派な牙を持っており、近くに来たボウフラを素早くがぶっとひと咬み。そのまま食べてしまいます。一匹が一日で10~20匹のボウフラを狩ります。ただ見境がなさ過ぎて仲間や兄弟も近づいたらペロリですが」

ーカクイカにはぜひ頑張ってほしいです。

(大野さん)
「そうですね。ボウフラがわらわらいる中に、一回り大きくて動きが周りとちょっと違うものがいたらひょっとするとカクイカの仲間かもしれません。応援したくなりますね」

区別が難しいカクイカ…この中にはイナイカナ?

「でも、残念なことに食欲旺盛すぎてすぐにまわりのボウフラを食べつくして共食いに走るため、たくさん発生することはできず、研究はされているものの人工繁殖は難しくてボウフラ対策の救世主!…となるのは難しいようです」

「そして、ひょっとしたらみなさんの近くにもカクイカはいるかもしれませんが、見た目が成虫は蚊、幼虫はボウフラなので、見分けがつきにくく、やっつけられてしまう悲しい存在なのです」

家庭でできるボウフラ対策は?

ー家庭でできるボウフラ対策はありますか?

(大野さん)
「ヤブカはちょっとした水たまりからでも発生します。庭やベランダにある水たまりは要注意。古いタイヤや水槽、植木鉢、バケツ、雨よけシートやブルーシートのくぼみにたまった水、竹の切り株などの小さな水たまりにもボウフラはやってきます」

「ほかにも、ジュースの空き缶や空き瓶、ときにはおうちの中の花の活けてある花瓶にボウフラがいたなんてこともあります。ひとすくいの水から数十匹のヤブカが発生します」

「対策は水たまりを作らないこと。ボウフラを血眼になって探さなくても、水たまりさえなければ蚊は発生しません。ボウフラは流れのない(または少ない)水がないと生きていけないので、流したり干したりしてしまえばやっつけ完了です」

呼吸管がおしり側にあり、息をするためにおしりを上に向けて常に逆立ちしている!

「蚊は早いと10日ほどで卵から成虫になってしまいます。晴れた日におうちの周りを見てみましょう。梅雨時に伸びた木や草の葉も成虫の休み場所になります。これもさっぱりとして風通しよく乾燥させてやると成虫の隠れ家もなくなります」

ところで、「孑孑(ボウフラ)」ではなく「子」がたくさん並ぶ子子子子子子子子子子子子」はなんと読むでしょうか。

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