試合のトップバッターを飾る「先発」。そして9回を締める最後の砦「抑え」。試合を作る投手リレーにはそれぞれの役割がある中で、今回のヒーローは、先発から抑えまでのリレーを繋ぐ「中継ぎ」・楽天イーグルス酒居知史投手。その知られざる想いに迫ります。

中継ぎとしてフル回転

大阪府出身。2020年千葉ロッテから楽天イーグルスに移籍し、プロ8年目。勝ちパターンの一翼を担い、6月13日にはプロ野球史上47人目となるプロ通算100ホールドを達成。試合の展開を保ち、勝利へ繋ぐその役目を、本人はどう思っているのでしょうか。

楽天 酒居知史投手:
やりがいのあるところで投げたいっていうのは、毎年思ってることで。やっぱりチームが勝っている時に投げるっていうのはモチベーションにもなりますし、もちろんやりがいもあるので。それが結果として表れてくれているのは、すごく嬉しいですね。

今シーズンは主に7回に登板することが多い酒居投手。切れ味鋭いフォークボールを武器に要所を締め、中継ぎとしてフル回転しています。

勝ち試合の場合、同点逆転を許さないのが中継ぎの仕事。仕事を果たした投手にはその証として「ホールド」が与えられ、酒居投手はホールドポイントでリーグ2位につける活躍です。

「居酒屋酒居」開店!

ファンから付けられた愛称は、その名も「居酒屋酒居」。

上から読んでも下から読んでも居酒屋酒居。言葉遊びから生まれた呼び名ですが、登板のたびにネット上では「居酒屋酒居開店!」の声が。

楽天 酒居知史投手:
ははは(笑)あれはそうですね、何年か前に僕も知って。今年球場グルメを出す時に「それ使おう」みたいな感じで、メニュー名にも使わせてもらって。

今年からスタジアムグルメでは「居酒屋酒居 お肉屋さんの国産モツ餃子&焼き鳥セット(1129円)」が登場。

楽天 酒居知史投手:
本当に居酒屋にありそうなメニューを出したかったので。味付けにも言わせてもらったりとか。「いや、もうちょっと濃い方がいいな」とか(笑)。でもそうやって言ってもらえて、覚えてもらえるのであれば僕は全然嬉しいですし、僕自身、社会人(野球)を経験して、かけ離れた世界にいるみたいな感覚でもないので。プロ野球界にいますけど。だから(居酒屋は)馴染みのある場所でもあるので。

番組ディレクター:
「行きつけの居酒屋ような安定感あるピッチング」っていう…。

楽天 酒居知史投手:
あ、そっちですか(笑)でも安定に美味しい居酒屋で、いいということですよね?それやったら最高です(笑)最高に嬉しいです。

先発から中継ぎへ

元々千葉ロッテで先発としてプロのキャリアをスタートした酒居投手、その経験があるからこそ、わかることも。

楽天 酒居知史投手:
(先発と中継ぎは)もう全く別ものかなって僕は思います。先発の時は(登板は)1週間に1回ですし、その1回が駄目だったら1週間すごく気持ちが落ち着かないというか。僕は先発はどっちかと言えばメンタルが強くないと無理かなって、僕は弱かったので駄目だったんすけど(笑)。

中継ぎは、ダメでも次の日チャンスが巡ってくれば、そこで挽回できて、また気持ちをリセットできる機会があるっていうのがあるので。そういった意味でも違いますし、中継ぎはやっぱりそういった意味でも体力勝負なのかなと思います。1イニングの一瞬っていうのは、僕、苦じゃないというか、力が出せるんです。
もちろん毎回緊張しますけど、そこに対して本当に一瞬の出来事で終わってくれるので、自分に合ってるのかなとは思います。

先発の気持ちがわかるからこそ生まれたシーンがありました。

勝った試合なのに、酒居投手は…

5月1日のソフトバンク戦では、今シーズン自身初めての複数失点、3対3の同点に追いつかれます。

しかし、その後再度勝ち越しに成功し、楽天が見事勝利。選手は皆喜びをあらわにしますが、一方、酒居投手は…。1人だけ勝ち試合の後とは思えない表情、笑顔が全くありませんでした。

楽天 酒居知史投手:
はい(笑)、多分そんな感じでしたね。僕はやっぱり、ああいうピッチングをしたことによって、先発を投げた藤井聖投手の勝ちも消していますし、そういう人の人生を左右するようなことをしちゃってるという思いで、喜べなかったですね。先発目線の中継ぎを見るっていうのと、中継ぎ目線の先発を見るっていう…、両方経験している分、やっぱりいろんな想いはわかるので。

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