このほど、筋肉の萎縮を予防する効果が期待できると発表された「凍り豆腐」。
実に国内生産の9割が長野県内で作られているという、信州の伝統食です。
新しい商品も開発されている凍り豆腐の周辺を取材しました。


5月に長野県の内外の食品メーカーが開いた会見。


信州の伝統食でもある「凍り豆腐」に、筋肉の萎縮を予防する効果が期待できることが、動物を使った実験で明らかになったと発表しました。

研究では、坐骨神経を切除したマウスに、凍り豆腐のタンパク質を与えたところ、動物性タンパク質を与えた場合よりも、10日後の筋萎縮が3分の1ほどに抑えられました。

有益な機能性食品となる可能性があるとしています。

栄養価に優れていると言われる凍り豆腐。


タンパク質は卵のおよそ4倍で、絹ごし豆腐の10倍。

カルシウムは牛乳の6倍です。

一般的には「高野豆腐」、また県内では「凍み豆腐」とも呼ばれて親しまれていますが、実は国内生産のおよそ9割が、長野県で作られているというのは、ご存知でしたか?


長野市に本社工場がある「みすずコーポレーション」では、国内生産量の3割以上を製造しています。

広報部・塩島なつみさん:
「作り方を説明しますと、固めの豆腐を作り、切断冷凍し、冷凍したものを乾燥させたものが、こうや豆腐になります」


12畳分の大きさの「固めの豆腐」を作ったあと、ロールカッターでカット。

これを一回冷却してさらにカット。

その後、凍結・熟成させてから解凍します。

このとき、食感が軟らかくなるように加工を施すのがポイント。

最後に乾燥させて、凍り豆腐の出来上がりです。

商品開発部・熊井麻美さん:
「植物性食品が見直されていて、ヴィーガンの方であったり、ベジタリアンの方は、もちろんなんですけども、一般の人にも人気の食材になっています」

海外からも注目されているという凍り豆腐。

輸出量は年々増えているそうです。


昭和26年創業という飯田市の「信濃雪(しなのゆき)」。

凍り豆腐や油揚げなどを製造しています。

社長・松島晴実さん:
「凍り豆腐は年間でだいたい200トンくらい」

主に学校給食用に。

県外や海外へも出荷しています。

中にはちょっと意外な商品も。

専務取締役・吉澤希彦さん:
これ、こうや豆腐なんですか?
「こうや豆腐を粉にした状態です」


栄養価に優れているという凍り豆腐を粉状にした「粉豆腐」という商品です。

尾関アナウンサー:
「一見きな粉にしか見えないですけど、どういうふうに食べたりするんですか?」吉澤希彦さん:
「これに野菜とかを混ぜて煮込んだりだとかします。ちょっと珍しいものもありまして」

粉状の凍り豆腐を使った珍しいものとはいったい?



それは、飯田市の隣、泰阜村で今年4月に完成したというある商品。

閉校した小学校の調理室で作られています。


商品を考えたのは、10年ほど前に地域おこし協力隊として埼玉県から移住してきた長尾透さん・有希子さん夫婦です。

材料は、先ほどの粉状の凍り豆腐と水、そして、軽く茹でたという「あるもの」。

まずは、その「あるもの」をミキサーにかけます。

社長・長尾透さん:
「しゃばしゃばの状態ですけど、だんだんねばっと」
「粘り気出てますね」

ミキサーにかけるとかなり粘り気が出てきました。

ここに粉状の凍り豆腐を入れて混ぜたら大きな鍋へ。

加熱しながらしっかり練っていきます。

そして、水で溶いた炭酸ナトリウムを少しずつ加え、空気を抜きながら枠に入れて固めます。

最後に熱湯の中に入れて50分ほど茹で上げ、水で冷やせば完成です。

ここで使った「あるもの」とは、泰阜村特産の芋。


そして出来上がったものは、粉状の凍り豆腐を入れたその名も「豆腐こんにゃく」です。

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