JRの線路から銅製のケーブルを盗んだとされる男。犯行のきっかけは「小遣い稼ぎで盗みに行こう」と誘われたことでした。
事件は今年2月ごろ、山口県内のJR宇部線、山陽線の線路に取り付けられていた銅製のケーブルが切断され、持ち去られていたものです。警察によると、この事件の被害は6件で、盗まれたケーブルは442本、被害総額は約330万円に及びます。宇部市の会社役員の男ら5人が、窃盗の罪で起訴されています。
このうち、実行役の男の初公判が7月3日、地裁宇部支部でありました。起訴状によると、男は今年2月、JR宇部線の居能駅構内と、小野田線のレールに取り付けられた「レールボンド」とよばれる銅線のケーブル118本(時価76万1200円相当)を盗んだとされます。髪を後ろで束ね、紺色のスーツにワイン色のネクタイで法廷に立った男は「間違いありません」と起訴内容を認めました。
検察側の冒頭陳述で男は、知人の男から「小遣い稼ぎでレールボンドを盗みに行こう」という誘いにのりました。2月9日午前0時ごろ、この知人の男と現場近くの駐車場で待ち合わせようとしましたが、男の車にガソリンがなかったことから、男の自宅近くのガソリンスタンドで待ち合わせを変更。知人の男から、ガソリン代として約2000円を受け取りました。その後、それぞれの車で当初の待ち合わせ場所に移動すると、知人の男の車にあった、ケーブルを切断するのに使う「クリッパー」を男の車に積み替え、2人は犯行現場に向かいました。そして、線路上でレールボンドを切断し、車に積み込んで別の共謀する男のアパートに運んだということです。
その後、知人の男と、別の男の2人がスクラップ会社まで運んで、7万7000円で売却。報酬は1万円で、男は犯行の前にもらったガソリン代を差し引かれ、7~8000円を受け取ったということです。
裁判の中で、男の母も証言台に立ちました。「親にも周りにも優しい子」という男。しかし当時の生活は、仕事のあと朝方まで友人とドライブなどをしていて、母が注意をしても聞かなかったそうです。犯行の原因について母は、男は断りづらい性格で、誘われたらついて行ってしまうことや、周りの交友関係の悪さを指摘。犯行後、男は母に「申し訳ない、二度とこういうことはしない」と話し、現在は友人と連絡を取っていないといいます。「母親として息子を見守っていきたい」と、淡々と話しました。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。