幼いころから野球グラブに愛情を注ぎ、ついには「熊本発の野球グラブメーカー」を立ち上げた男性がいます。熊本らしさと機能性を追及したモノづくりを追いました。
戦国武将あしらった唯一無二のグラブが誕生
熊本城を築いた戦国武将・加藤清正、その騎馬姿がシルエットとしてデザインされた熊本らしさ溢れるグラブ。手がけるのは熊本市に住む佐藤大志(さとう たいし)さんです。
グラブメーカーUNREFINED 佐藤大志さん「熊本発信のメーカーとしてやっていくので、熊本っぽいデザインのグラブがほしくて」
今年4月にメーカーを設立したばかりですが、グラブを持って社会人野球のチームに営業に行くと、大好評です。
「めちゃめちゃいい いただきます」
「超いい、超いいですこれ」
なぜ、選手に評価されるグラブを作れたのか?そのアイデアに迫ります。
グラブと共に育ち、甲子園へ
宮崎出身の佐藤さん。宮崎商業高校時代にはピッチャーとして甲子園に出場しました。子どもの頃から野球に打ち込む中で、特に愛情を注いできたのがグラブでした。
佐藤さん「小学校の頃からグラブをはめたまま寝たりとか、ショッピングモール行ってもスポーツ店で30分~1時間グラブを触ったりとか」
社会人になり宮崎から熊本へやってきた佐藤さんは、草野球が盛んなことに驚いたといいます。
佐藤さん「スゴイじゃないですか、熱が。大人になってもこれだけ野球を楽しめるのかって」
グラブで選手のプレーを応援したいと考えた佐藤さんは、まずは学生野球よりもデザインの自由度が高い草野球用グラブに力を入れることにしました。(学生野球用も対応可)
佐藤さん「グラブを見るたびに『よしやるぞ』という気持ちになって、選手がプレーしてくれたらなと思って」
戦国武将・清正に自身を重ねて
初めてデザインしたのが加藤清正をモチーフにしたグラブです。出身地ではない熊本でも一花咲かせたいという思いが込められています。
佐藤さん「加藤清正は熊本で活躍して有名になっているけれど、実は熊本出身ではなくて。違うところから来て熊本で活躍するという意味で、加藤清正にした」
意外な素材から生まれるフィット感
佐藤さんのグラブの珍しい特徴は、手を入れる部分の素材です。
佐藤さん「本来は裏側にある生地。毛羽立ちがあり手にしっくりきて、フィット感が増す」
これまでに3000個以上のグラブを製作してきた職人も、その発想に驚いたといいます。
グラブ職人 三宅泰成さん「手を入れるところに使うというのは珍しくて、職人になってから一度もない。そこに使うのか、と思った」
ではなぜ、ざらざらした素材を使ったグラブを作ることにしたのか。そのアイデアは野球と関係のないところから生まれました。
「職人の手」から「選手の手」へ
佐藤さんの本業は建設業、その現場で重宝されているのが革の手袋です。他の作業員の手元を見てみても、全員革の手袋を使っています。
38年のベテラン職人「自分は革の手袋が一番ですね」
滑りにくく汗を吸うことで、快適に作業ができるといいます。この革の手袋に使われている牛の革由来の素材こそ、佐藤さんがグラブに採用した材料です。
佐藤さん「何十年も職人に愛されてきたものをグラブに取り入れてみても面白いかなと思って、やってみたら割といい感じの物ができた」
「熊本発グローブ」拡散中!
こうして機能性を追い求めた佐藤さんのグラブ。熊本県内トップレベルの軟式野球チームの選手たちは、どう反応するのでしょうか。
熊本赤十字病院 軟式野球部 選手
「おー フィット感がいいですね。力みなく投げられそうな感じ」
「いつもは手汗がひどくて手袋をはめるんですけど、これだったら手袋なしで捕れるのでフィット感が増す」
この日の試着会では5人が購入を希望しました。
佐藤さん「自分がこだわったところが伝わっているので嬉しいです。まだ全然知られてもないし、使ったこともない感覚だと思うので、まずは知ってもらうことからかなと」
佐藤さんは今、熊本城やその石垣『武者返し』のデザインを考案中。機能性を備えた熊本らしいグラブをさらに広めようという、佐藤さんの挑戦は続きます。
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