政府が進めるマイナ保険証の利用促進キャンペーンが強引だなどとして、全国の開業医らで構成する全国保険医団体連合会(保団連)の橋本政宏副会長らが20日、国会内で厚生労働省に対しキャンペーンの中止などを要請した。 厚労省は5~7月、利用促進の集中取り組み月間として、利用者が増えた病院や薬局に最大20万円の支援金を出すキャンペーンを展開中だ。

◆病院や薬局の声かけ「利用を強く誘導」

保団連側はキャンペーンでは、一部の医療機関や薬局側が患者に対し、マイナ保険証利用を強く誘導するような声かけが行われているのは問題と指摘した。

マイナ保険証の利用促進キャンペーンの中止などを要望する保団連の橋本政宏副会長(左から2人目)

また、保険証の新規発行が停止される12月2日以降も現在の健康保険証が最大1年間有効であることや、マイナ保険証を持たない人には当分の間「資格確認書」という保険証の代わりとなるものが交付されることを周知していないため、12月以降はマイナ保険証がないと保険医療が受けられないという誤解を招いているとして、キャンペーンの中止やチラシなどの文言修正を求めた。 これに対し厚労省の担当者は、キャンペーンについて「まずは(マイナ保険証を)ご利用頂くことでメリットをご理解頂けると思っている。医療機関にさまざまな方法で呼びかけをお願いしているが、それ自体強要ということにはならないと認識している」として継続する考えを示した。

◆厚労省は強要否定「チラシに誤りはない」

また、現在、病院や薬局で配布されている「チラシ」の文言が「保険証が廃止されることしか書いてない」と指摘された点については「(書いてあることに)誤りはない。修正、回収する必要はない」とした。 さらに、「マイナ保険証に切り替えが必要と誤認させる」と指摘された病院や薬局向けの「台本」(トークスクリプト)についても、「マイナ保険証を強要する趣旨のものではない。回収や文言の修正をする必要はない」と回答した。 橋本副会長は「高齢者施設などを中心に、現行の健康保険証がなくなると必ず困る人が出てくる。現行の健康保険証を併存させて、慎重に医療デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めてほしい」と要望した。(長久保宏美) 

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