今月、記者の自宅にひときわ目を引く「黄色い封筒」が届いた。宛名の横には大きめの赤で「重要・必ずご確認ください」の文字ー。
左下には「学校給食費関係」と書かれている。「何かミスが…?!」焦ってさっそく開封すると、中身は給食費の納付額決定通知書。今年度の給食費の合計額と、引き落とし口座番号・名義などが記されていた。
広島市教育委員会から、市内の小・中学校に通う子どもの保護者宛に届いたものだが、この知らせはこれまで確か白い封筒だった。しかもこんなに“緊迫感”は感じなかったはず…。
記者と同じような感覚を抱く人も少なからずいるようで、子育て世帯に届いた知らせが、ちょっとした話題を集めている。
なぜ封筒は黄色に変わったのか、さっそく広島市教育委員会を訪ねた。
「黄色は目にとまりやすいからです」
広島市教委の担当者が答える。
封筒の色は今年度から、初めて白から黄色に変えたという。
その目的について市教委の担当者はこう説明した。
「学校給食費の未納者が増えているので、まずは手に取ってもらえるよう、目立つ色にしました」
黄色い封筒は「未納対策」の一環だった。
給食費未納が前年比32倍に “急増” 背景にあるのは?
実は広島市では、小・中・特別支援学校で、給食費の未納額が急増している。2022年度の未納額は、約2045万円。前年比32倍の大幅増だ。2023年度はさらに増える見込みという。それ以前の最近の未納額は、多い年でも約100万円程度だったというから、その増え方に驚く。いったいなぜ、こんなに急増しているのか。
急増した主な原因は給食費の徴収方法の変更だ。
全国的な流れを受けて広島市でも2022年度から、学校ごとに給食費を集める方式から、広島市がまとめて集める「公会計」に変わった。このとき引き落とし手続きにミスがあったり、周知不足だったりしたことから徴収が滞り、未納額が急増したという。
黄色い封筒は、まずは開封して金額や引き落とし口座を改めて確認してもらうことで、これ以上、未納額を増やさない狙いがある。
黄色は、全国の自治体で使われているピンクやオレンジなどカラフルな事例も調べた上で決めたという。
確かに黄色は目立つ。
「未納の知らせかとドキッとしてすぐに中身を確認しました」
記者がそう話すと、市教委の担当者がニヤリとした。
「焦ってすぐに開封した」「何事かと驚いた」 引き続き未納対策を検討
職場内で子育て中の同僚に聞くと、記者と同じように「焦ってすぐに開封した」「何事かと驚いた」という意見が相次いだ。
広島市教委にはもちろん苦情など来ていないが、書類に関する問い合わせの中で「黄色に変わっていてびっくり」「白封筒ではないから何だろうと思って開封した」という声もあったという。
黄色い封筒は、年に2回程度しか届かないというが、慣れると効果はなくなるのだろうか…。
何はともあれ、未納対策は急務だ。
広島市教委では、未納で連絡が取れない保護者には学校を通じて書類を渡すなど、引き続き効果的な未納対策を検討する方針だ。
また、経済状況が厳しい世帯には、給食費の納付を免除する就学援助制度もあるとして、活用を呼びかける。
あれ?そもそも給食無償化の自治体もあるけれど、広島市はいまのところ無償化導入予定はないということか…。
何かと話題の給食費である。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。