87億3000万円。2023年、全国のインターネットバンキングでの不正送金被害の総額です。発生件数は5578で、金額とともに過去最多です。クレジットカードの不正利用などに代表されるサイバー犯罪は年々増加していて、手口も巧妙化しています。

コンピューターやインターネットなどの情報技術を悪用したサイバー犯罪は、数や規模が年々増加するなか、石川県警ではサイバー犯罪撲滅を重要課題の一つとし防犯対策を強化しています。

石川県警サイバー犯罪対策課・小島直樹次席「私自身もインターネットをしていて、不審なメールが届くことが日常的に多々ある。そういったサイバー犯罪というのは非常に多くなってきているということは肌で実感している」



県内でのサイバー犯罪の相談受理件数は、2019年の1603件からこの5年間で倍近くにまで増えています。2023年は4月末時点で1030件です。

相談内容は詐欺・悪質商法の被害に関するものが最も多く369件です。次にクレジットカード犯罪被害に関する相談が264件、次いで迷惑メール・スパムメールによる被害が179件。これら3つで全体の8割近くを占めています。

羽咋市では70代の男性がネット広告を通じて知り合った投資アドバイザーを名乗る人物から、「今は金(きん)を保有した方が儲かる」などと勧められ金の取引名目で11回にわたり現金合わせて4500万円をだましとられる被害が、11日明らかになったばかりです。

SNSを使った詐欺としては今年に入って最高額です。

NECソリューションイノベータ・高江茂さん「サイバー攻撃にもトレンドがある。被害の出方が大規模になってきている。そこに対しての注意点であったり、そうならないための対応を話させてもらっている」

サイバー犯罪への対処能力を高めるため、県警では2016年から被害防止に向けた教育や啓発活動、サイバー空間のパトロールなどを行う防犯ボランティアを開始。

翌年からは民間事業者らが顧客データをもとに最新の情報提供や助言を行う、テクニカルアドバイザーを委嘱しています。高江さんもその一人です。

高江茂さん「直接的な手口そのものを調べていたり、その見つけ方。技術的なところで県警の皆さんと犯罪にあたれるようなかたち。当然ながら犯人に直接対応するわけではないが、技術をもって県内の犯罪を減らしていけるような活動になれば」

サイバー防犯ボランティアには2024年、3つの団体が委嘱されました。

金沢工業大学のメンバーは3年前から、広報啓発動画や学習用ゲームなどを作成し被害防止を呼びかけています。

金沢工業大学情報工学科3年・杉森晃大さん「先輩方が作られたゲームの発展と、また新たに楽しみながらセキュリティについて学んでもらえるものが製作できればいいなと」

県警のサイバー犯罪対策公式マスコットキャラクター「サイビット」を手がけた金沢情報ITクリエイター専門学校も、3年連続で防犯ボランティアに加わっています。

2023年には、学生が制作した動画が警察庁の広報啓発コンテストの「サポート詐欺対策」部門で最優秀作品に輝きました。

金沢情報ITクリエイター専門学校デザイン学科2年・近藤隆也さん「私たちの作ったデザインが皆さんの目にとまって、犯罪対策につながっていくようなものになればうれしく思う」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。