広島県三次市などで5日から始まった全国初の実証実験。自宅の不要品をヤクルトの販売員が持ち帰り、再利用のため販売するもので、フリマアプリのメルカリ、ヤクルト山陽、そして自治体が連携しています。一体どういうものなんでしょうか?

三次市中心部の商店街で、親の代から90年以上、陶器店を営んで来た黒田さん。

黒田良子さん(91歳)
「最近は100円均一に行ったら、安くて体裁のいいのがある。そんなの皆使われるからね。私らのようなものは古いからね、もう使われんからね。なんぼ安うしてもね、『いらん』って言われるじゃない」

4月末で店を閉めることになり、最後はセールをしましたが、売れ残った食器の処分に困っていました。

黒田良子さん(91歳)
「重たいものも提げられないし、私が死んだら子どもが片付けてくれるだろうか。ゴミに出しても(家から)取ってくれないだろうしって話をしていたら、ヤクルトさんがね」

この黒田さんの家に、車で到着したのは、8年前から週に1度ヤクルトを配達するスタッフ。この日はひとまず、丼鉢などの食器1箱分を持ち出します。金銭のやりとりはありません。

黒田良子さん(91歳)
「『少しずつ持って帰るから』と言ってくれたので助かります」

ヤクルト山陽 三次営業所 スタッフ
「(販売先は)高齢の方が多いので、車とかスマホを持っておられない方が多い。やっぱりそういう方は、こういうものがあるから引き取ってもらえませんかっていう声は多々いただいております。ほとんどの方が、メルカリって言ったら、何それって言われることが多いんで」

この、全国初の実証実験で、メルカリにとっては、家庭に眠るお宝の発掘で出品数が増え、ヤクルト山陽にとっては、顧客サービスの充実と、新規開拓へのツールとなる、というメリットを見込んでいます。さらに自治体としては、まだ使えるものを再利用することで、ゴミの減量につなげるのが目標だということです。

三次市 福岡誠志市長
「今まさに処分場の問題で、次の処分場をどうするのか、今のキャパで言うとあと何年かしか使えない、という状況にありますので、(次の検討を)進めるのと同時に、長寿命化というのを模索しているので」

最終処分場の延命が喫緊の課題となる三次市では、市民が持ち込んだゴミの中から、まだ利用価値のあるものを、同意が取れた場合は、ヤクルト山陽が引き取る、という仕組みもスタートさせました。

引き取られた不要品は誰がどうする?そして売り上げはどうなる?

ヤクルト山陽・三次営業所の販売スタッフは、およそ20人。1人あたり100~200世帯の訪問先と顔の見える関係を築いています。

不要品回収の取り組みは、すでに年明けから告知。この日も、自ら不要品を持ち込む人が…。

三次市の住民
「ヤクルトの販売員さんにパンフレットいただいた。それでお役に立てるんであれば思うて、きょう持ってきた」

持ち込まれるものは、▼帯や草履、浴衣などの和服や、▼引き出物の食器など、まだまだ使えるのに使う人がいない、という状態のものです。

引き取られた品物は、営業所内で、担当者が写真撮影や値付けなどを行い、「ヤクルト山陽」というメルカリショップに出品されます。

10個おそろいの新品の丼鉢は、5つずつのセットで売り出されることになりました。

ヤクルト山陽 リユースチーム 天野貴美子さん
「5枚の方が売りやすいというか、買っていただきやすいっていうのがあって」

実証実験は、2025年3月まで続けられ、収益は、三次市、安芸高田市それぞれで福祉的な目的のために使われるということです。経済合理性や環境負荷がどれくらい減ったかなどを検証・評価し、うまくいけば、メルカリとヤクルト山陽は、取り組みを広げる予定です。

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