海上で釣りなどを楽しめるエンジン付きのミニボート。免許がいらず手軽に乗れるため人気が高まっていますがその一方で、事故が増加しています。事故を起こしたミニボートの約半数はインターネットで購入したものでした。
ミニボートでイカ釣りに
6月にはいってすぐの週末・日曜日。福岡県福津市の海岸では、多くの釣り客が船で沖に向かっていました。
Qきょうは何を釣りに?
釣り客「イカですね。イカです。暇さえあれば来ています。」
乗っているのは、「ミニボート」と呼ばれる小型の船です。
釣り客「堤防を見てもらったら分かるんですけど、堤防はシーズン中釣り人が多くて。ミニボートだと気兼ねなく行けるから」
レンタルボート店「コロナ禍以降人気に」
レンタルボート店では、週末のミニボートの予約はほぼ埋まっていると言います。
この日もあわせて15隻が出航しました。
レンタルボート2馬力 高田智幸 代表「コロナ禍以降すごい多いですね。船だと他の方と接触しないので、家族とか、そういう方と海に出られたら、コロナにかかる心配もないからですね。」
免許不要になり利用者が増加
福岡県北九州門司区のボートメーカー「ホープ」は、ミニボートの販売で全国トップのシェアを誇ります。
ミニボートが普及するきっかけとなったのは2003年の法改正でした。
長さが3メートル未満で、船外機の出力が2馬力未満の船舶は、免許も船舶検査も不要となったのです。
ホープ 市川弘二 代表取締役「今まではすべて免許も検査も必要だったのが、必要なくなったことでものすごく身近になったわけですよね。それでユーザーは増えていきました。」
事故は4月~6月に集中
一方、利用者の増加に伴って事故も増えています。
第7管区海上保安本部によりますと2021年、管轄する北部九州の海域では24件のミニボートの事故が発生。
去年も、伊万里湾沖で転覆したミニボートの乗員が死亡する事故が起きています。
事故を月別に見ると「4月から6月」が最も多くなっています。
ホープ 市川弘二 代表取締役「やはりね、準備をされていないんですよ。ライフジャケットを着ていません。何もやっていません。とりあえず街中を歩くような格好で行かれている人もいるし、この辺りだから問題ないだろう、とやっているでしょう。」
事故の原因 トップはエンジンの故障
過去10年間のミニボート事故の原因をみると、エンジンの故障が28%、そして「転覆」が23%となっています。
船舶検査がないことでエンジンの整備不良に気づかないまま乗る人や、ミニボートの特性を把握しないまま乗船し転覆してしまう人も多いといいます。
インターネットで購入する場合は注意を
販売やレンタルをする店舗では利用者にエンジンの使い方などを細かく説明していますが、注意が必要なのがインターネットで購入する場合です。
第七管区海上保安本部・安全対策課 西山巌課長「手軽にインターネットで入手できるものではあるんですけど、正規のディーラーが扱っているエンジンではなくて、ネットで個人で売買されているものや、ひどい場合は、草刈機の刈刃のところをプロペラに付け替えて改造して使用している方も、過去にはいたと聞いています。」
去年、事故を起こしたミニボート17隻のうち8隻は、インターネットで購入したものだったということです。
安全にミニボート楽しむために
海上保安本部は、ミニボートで釣りをしている人や、販売店にリーフレットを配りライフジャケットの着用など安全管理を呼びかけています。ライフジャケットには水を感知すると自動で膨らむものもあります。
第七管区海上保安本部・安全対策課 西山巌課長「海にはやっぱり海のルールっていうのがありますので、その辺も踏まえてミニボートでの釣りやマリンレジャーを楽しんでいただければなと思っています」
ミニボート操縦する人は「船長」です
免許や検査が必要ないミニボートであっても船を操縦する人は船長とみなされます。
自分と一緒に乗る人の命を守るためにも事前の準備と正しい知識を持つことが必要です。
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