悪質な違反をした自転車の運転者に対して、自動車と同じく反則金の納付を求めるいわゆる「青切符」の導入が決まりました。制度の概要や違反行為について、警察と専門家に聞きました。

ながらスマホ…取材中に多数確認

子どもから大人まで広い年代で乗られている自転車をめぐり、悪質な違反をした16歳以上の運転者に対して、「青切符」を交付して反則金を求める改正道路交通法が成立、2年以内に施行されます。反則金は5000円~1万2000円程度になる見通しです。

大分県警交通企画課 河野豊秀次席:
「現状は、交通ルールを違反した人に対して『自転車指導カード』を交付し、指導・警告を行っています。また、酒酔い運転など危険な行為に対して“赤切符”で対応しています」

県警によりますと、今年1月から5月末までの速報値で、『自転車指導カード』の交付件数は1585件。最も多い違反は「無灯火」、次いで「並進」で、いずれも450件以上ということです。

実際に大分市中心部で走行中の自転車を見てみると――。スマートフォンを操作しながら片手で自転車を運転する人、イヤホンをつけて走行する人も確認しました。

また、街の人に取材すると、自転車にまつわるヒヤっとした体験談を多くの人が持っていました。

(街の人)「スマホを見ていて気づかない人が目の前でぶつかりそうになったことを何回か見たことがある」「車を運転中、自転車が脇道から一時停止せずに道路に進入してきてヒヤっとしたことがある」「車道を走る自転車を追い越すため、車を右側に少し膨らませるので気を使う」「自転車の逆走はよく見かけますね」

どの違反を取り締まり?

「青切符」の交付は、2026年までに始まりますが、現在検討されている違反項目は115項目に上ります。すべてを取り締まるのでしょうか?自転車の安全利用促進委員会の遠藤まさ子さんに聞きました。

遠藤まさ子さん:
「115項目全部の違反を取り締まるのではなく、加害者となるおそれがあり、特に悪質な信号無視、歩行者の妨害行為、車道の逆走、交差点・踏切前での一時不停止、スマホなどによるながら運転、こうした行為に対して取り締まりを厳しくすると思われます」

――イヤホンを付けての走行は?

遠藤まさ子さん:
「青切符の対象になると思います。ただ、コードのないワイヤレスイヤホンが主流となっていて、髪の毛で隠れて確認できない場合もあり、取り締まりは現実的に難しくなるのではないかと考えています」

――ヘルメットの着用についてはどうなるのでしょうか?

遠藤まさ子さん:
「ヘルメットは“努力義務”のままで、取り締まりの対象にはなりません。ただし、事故にあったときに、保険会社によってはヘルメット着用の有無で賠償金に差が出るケースがあります。ヘルメットを着用している人は安全意識が高いと評価されています」

――スマホを自転車のハンドルに備え付けている場合はどうなるのでしょうか?

遠藤まさ子さん:
「スマホを操作したり、画面を注視したりした場合、青切符の対象となります。画面の注視については、2秒以上ともいわれています。もしスマホを操作したいなら必ず自転車をとめてください。そうすれば違反にはなりません」

――無灯火については?

遠藤まさ子さん:
「無灯火については、危険行為の中には入っていませんが、夜の取り締まりでわかりやすいですよね。注意、確認の対象になると思います」

信号機の『車用』と『歩行者用』どちらに従う?

警察庁は、下記の違反行為について取り締まりの重点対象としています。
・信号無視
・指定場所一時不停止
・通行区分違反(右側通行、歩道通行等)
・通行禁止違反
・遮断踏切立入り
・歩道における通行方法違反
・制動装置不良自転車運転
・携帯電話使用等
・公安委員会遵守事項違反(傘差し)など

「信号無視」には注意が必要です。信号機の『車用』と『歩行者用』どちらをみて走行すればいいのでしょうか?

警察によりますと、交差点にある歩行者用信号機(二灯式)に『歩行者・自転車専用』の標示がある場合は、必ず『歩行者用』を。標示がない場合は、道路を進行中であれば『車用』を、歩道を進行中であれば『歩行者用』を見てほしいとしています。

県警交通企画課 河野豊秀次席:
「これまでは自転車の安全運転に関する教室を各学校で開催していますが、交通ルールの解説については、ほとんど実施していません。今後は高校中心になると思いますが、ルールを指導する機会を設ける必要があるのではないかと考えています」

飲酒運転など危険な行為にこれまで交付されていた「赤切符」に加え、「青切符」への意識で重大事故につながりかねない様々な違反を減らしていく効果が期待されています。

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