長崎NEXTスタイルです。今回は、造船から建築、そしてカフェへと次々に新たな分野に進出する長崎市の企業を紹介します。目指すのは長崎の町の風土に根ざした企業作りです。

船舶の塗装会社として1992年に創業した「そとわコーポレーション」。これまで大型客船やLNG船などの船舶部品の製造などを手がけてきました。

そとわコーポレーション 外輪宣弘代表取締役:
「造船業一本でいいのかなって。それ一本でビジネス抱えてていいのかなという不安もありながらね」

外輪社長が2002年に立ち上げたのが建築部門。坂が多く、土地の狭い長崎に適した住宅やオフィス、店舗の設計や工事、リノベーションなど200軒以上の実績があります。

さらに建築の打ち合わせ場所として2014年からカフェ「BLUEPRINT(ブループリント)」を展開。

およそ60種類のフランス菓子が並び、土日には平均200人が訪れます。

外輪社長:
「いい空間でカフェみたいなやつが出来れば、そのカフェを“打ち合わせ場所”にして、そこにお客さんたちがワクワクしながら、家をこうしたい、ああしたいと建築のお客さんのために作ってたものが…たまたまこっちのカフェの方が当たって…」

カフェの人気が高まるにつれて必要となったのが新たなスタッフです。

そとわコーポレーションでは外国人の雇用を積極的に進めていて5月、カフェに6人のフィリピン人スタッフを迎え入れました。グループ全体では現在300人以上のフィリピン人が働いています。

さらに、人材確保を狙った企画も──長崎県外の若手パティシエを長崎に呼び込もうと5月、福岡県の製菓調理専門学校で学生30人を対象にコンテストを実施。

選ばれた2作品を店頭で販売しています。

フィリピンのカカオの農家と提携 オリジナルのチョコレートを販売

シェフパティシエの神崎さんは、課題を解決するためには自ら動くことが大切だといいます。

BLUEPRINT 神崎琢也シェフパティシエ:
「働き手がいないだったり、変えていかないといけない。材料も高騰している。やっぱり言ってるだけじゃ何も変わらないので。僕は行動するべきかなと」

菓子業界でいま直面している課題がカカオ豆の価格高騰です。神崎さんの発案で3月にフィリピンのカカオ農家と業務提携。原料の仕入れからチョコレート製造までを自社で行い、コスト削減に繋げます。

神崎シェフパティシエ:
「カカオポッドっていって、これが木になってます。パティシエがパティシエのために考えたパティシエのためのチョコレートっていうのを追求していきたいなと」

自社オリジナルの癖のないチョコレートを使ったフランス菓子を10月の新店舗オープンに合わせて販売する予定です。

リノベーションで古民家の“お宝”を発掘

外輪社長:「昔で言う“THE豪邸”ですよね」

長崎市内にある築70年から80年ほどの古民家です。もうすぐ解体されるこの建物を訪れた外輪社長は4店舗目となるカフェで使うインテリアを探します。

外輪社長:
「昔の照明器具。これで裸電球つければ、はい。こういったのも私から見ればお宝」

「かなりいい(椅子です)これは。こういった生地も全部張り替えて、全部リメイクして。こういうのをカフェにぴちっと置けば素敵な椅子に変貌すると」

古いものを壊すだけではなく、その価値に目を向けてほしいと外輪社長はいいます。

外輪社長:
「こういうものがどんどん壊されているっていうのがちょっと寂しいなって。こういうものを活かしていければいい町になっていくとやろうなと思う。そういった町に僕たちも育ちたいっていう感じかな」

外輪社長が目指すのは長崎の町の風土に根ざした企業作りです。

外輪社長:
「長崎のこの田舎。海・山・この長崎のゆっくりした時間の動き。こういったのを少しストーリーにして長崎の町を作り変えていくと、何か少し楽しいものが、観光にも繋がっていく。長崎らしい…やっぱり都会の真似じゃないって思いますけどね。少しづつその田舎っぽさに合わせて企業作りができていけばいいなと思います」

造船から建築そしてチョコレートまで。そとわコーポレーションは課題に向き合いながら長崎の今にあった企業へと形を変え続けています。

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