今月20日の告示まで2週間余りとなった鹿児島県知事選挙。ここまでの動向と情勢をお伝えします。

(記者)任期満了に伴う県知事選挙は今月20日告示、来月7日投開票です。これまでに3人が出馬を表明しています。

現職で2期目を目指す塩田康一さん(58)。経済産業省の出身で、2020年の知事選で初当選しました。

新人で元自民党県議の米丸麻希子さん(49)。会社役員などを経て、2019年に県議選・姶良市区で初当選し、今年3月、県議を辞職しました。

新人で元看護師の樋之口里花さん(52)。国政選挙での野党共闘を目指す市民団体「ALLかごしまの会」の共同代表を務めています。

3人はいずれも無所属での立候補を予定しています。

MBCと南日本新聞、JX通信社の3社では、今月1日と2日にコンピュータで無作為に抽出した有権者に電話で調査し、1007人から回答を得ました。

この調査結果に取材を加味して情勢を分析したところ、現職の塩田さんが先行し、新人の米丸さんと樋之口さんが追う形となっています。ただ、調査では3割が「投票先を決めていない」とし、情勢が変わる可能性があります。

告示まで2週間余りとなった先週末、3人の前哨戦を取材しました。

塩田康一さんは今月2日、枕崎市で推薦を受ける自民党の県議や支援者とともに県政報告会を開きました。

(塩田康一氏)「観光関連産業、農林水産業の稼ぐ力を向上させていくことが大事」「AIを活用した投資に向けても集中的に支援するよう予算編成した」

新型コロナへの対応やかごしま国体などを1期目の実績にあげ、少子高齢化への対応や産業振興を訴えています。

(自民党 西村協県議)「派手さはないが、しっかりと県政を運営。(裏金事件の影響は)鹿児島県の国会議員は、みんなしっかりしているから、そういうことは問題ない」

(支援者)「鹿児島県のことをよく考えているし、何より鹿児島県が好きな人。この人しかいないと思って応援している」

米丸麻希子さんは今月1日、鹿児島市で中学・高校の同窓会に参加したあと、同窓生らと語る会を開きました。

(米丸麻希子氏)「私が出馬表明した理由の一つが体育館だと言われているが、そうです。もっとお金を使うところがいっぱいある。子どもたちの貧困、シングルマザー、本当に苦しんでいる人たちがたくさんいる」

県が進める鹿児島港本港区での総合体育館の建設に反対し、子育て支援に財源を充てるよう訴えています。

(同窓生)「桜島の前は、もっと違った意味で生かして、体育館は別のところがいっぱい空いているので、そちらを検討してもらいたい。それを壊すためには知事しかないと、彼女が出ることになったので応援したい」

(支援者)「若くてパワフル。元県会議員でキャリアがある。若い女性に頑張ってもらって、私たちもついていこうという感じ」

樋之口里花さんは今月1日、鹿児島市で市民グループのメンバーらと集会を開きました。

(樋之口里花氏)「古い原発がこの先もずっと動き続けるのが想像を超える怖さだと思う。軍事基地がたくさんある鹿児島は戦争の最前線になってしまう」

川内原発の20年の運転延長や、西之表市・馬毛島で進む自衛隊基地建設などに反対し、賛否を問う県民投票の必要性を訴えています。

(共産党県委員会 松崎真琴書記長)「共産党としても知事選挙は地方における最大の政治戦。どういう県政を目指していくのかというところでは大事な選挙だと考えている。全力で樋之口さんを応援して頑張りたい」

(支援者)「基地の問題とか原発の問題、貧困の問題とか。私たちの生活に直接つながることが大切だと思うので、普段主張していることに共感するので来た」

(キャスター)告示が迫りつつある中、3人の主張にも熱がこもっていますね。3人の選挙戦略についてはどうみていますか?

(記者)塩田さんは「草の根と組織の支援を車の両輪に据え、支持を広げたい」と強調します。自民党派閥の裏金事件の影響について「分からない」と話しますが、党幹部からは「自民党が支援している印象を与えすぎないことも必要だ」という声が聞かれました。

米丸さんは自民党の県議として5年間活動してきましたが、党を離党し、政党色を出さずに幅広い層への支持拡大を目指しています。陣営も出身の姶良市以外での知名度不足を課題に挙げますが、「初の女性知事誕生」を掲げ、アピールしたいと話しています。

樋之口さんは特定の政党の推薦を受けない方針を示していますが、反原発や自衛隊基地の整備、アメリカ軍の訓練に反対する市民団体と連携しています。争点化を目指しつつ、政策に賛同する声を広げたいと話しています。

(キャスター)有権者は投票先を決める上で、どんな政策を重視しているんでしょうか?

今回、有権者への電話調査で最も多かったのが、「経済・産業振興・雇用」。そして、「燃料高騰・物価高対策」「医療・福祉」「人口減少対策」などと続きました。選挙戦が近づくにつれ、3人の政策に触れる機会も増えそうですが、有権者の心に響く具体的な政策を示してほしいと思います。

(キャスター)政党の動きも活発になっていますよね。

県内に組織を置く、主な政党の対応をまとめました。自民党、国民民主党は塩田さんを推薦し、共産党は樋之口さんを自主的に支援することを決めました。その一方、立憲民主党、公明党、社民党は態度を決めていません。

また、労働団体の組織「連合鹿児島」は、塩田さんの推薦を決めました。連合の支援を受ける国民民主党は塩田さんを推薦する一方、同じく連合の支援を受ける立憲民主党は塩田さんを推薦しない方針です。野党の間でもこのように対応が分かれていて、複雑な構図となっています。

(キャスター)投票率の行方も気になりますね。

今回の情勢調査で、知事選について「大いに関心がある」と答えた人は全体の5割近くで、「少し関心がある」をあわせると9割近くでした。県政史上最多の7人が争った4年前・前回の投票率は49.84%と半数近くが投票しなかったこともあり、有権者の関心をどこまで高められるかも注目されます。

県知事選挙の告示は今月20日、投開票は7月7日です。

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