保育を手厚くしようと、政府が今年4月に改定した保育士1人が受け持つ最大園児数の基準について、「満たしていない」とする施設が37.2%に上ることが、保育士らの団体による自治体アンケートで分かった。政府は経過措置として「当分の間は従前の基準で運営することも妨げない」としているが、団体は一刻も早く新基準を満たすよう求めている。

◆公立施設「実施時期未定」が30%

 国は本年度から、保育士1人が受け持つ3歳児を最大20人から15人に、4~5歳児は30人を25人に減らすよう基準を改定した。

保育士配置基準の改正についてのアンケート結果を公表する岩狭匡志さん(左から2人目)ら=3日、東京・霞が関の厚労省で

 これを受けて、「子どもたちにもう1人保育士を!全国保護者実行委員会/全国実行委員会」は4月、全1741区市町村の保育担当課に対応状況を調査。5月下旬までに417自治体(24%、計1万2754保育施設)から回答があった。  団体によると、新基準を満たしている民間・公立の保育施設は44.6%に上り、基準を上回る保育士を配置しているのは同13.1%だった。一方、「旧基準のまま」が28.4%、「新基準を満たしていない年齢がある」が8.8%で、計37.2%の施設に通う子どもが、新たな基準での保育を受けられていない可能性があるという。  公立施設に限ると、新基準に沿う配置の実施時期を未定とした自治体が約30%あった。6割が課題に「正規職員の採用」「会計年度任用職員の採用」を挙げ、保育士確保や定着が壁になっていた。  団体メンバーの岩狭匡志さんは「全ての子どもに新たな基準が行き渡っていない。国は経過措置の明確な期限を示し、さらなる配置基準の改善に取り組むべきだ」と話した。(奥野斐)

 保育士配置基準 児童福祉法に基づく「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」などで、保育士1人で子どもを何人受け持っていいか示している。0歳児は3人、1、2歳児は6人で、3〜5歳児は本年度から改定した。基準を下回らない範囲で都道府県などが定めた条例に従い、市区町村などが認可保育所の設置や指導監督にあたる。基準違反を繰り返し、改善しない場合は認可取り消しもあり得る。



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