新たなエネルギーについてです。二酸化炭素を排出しない「レーザー核融合発電」がいま注目されています。実用化に向けた研究が始まっている静岡県の現場を取材しました。

美しく輝く緑色のレーザー。浜松市の施設ではスタートアップ企業がレーザー核融合発電に向けた研究を進めています。

EX-Fusion 我妻一博さん
「レーザー核融合というのは、レーザーで小型の太陽を作り出すというようなもの」

核融合発電とは、原子核同士を融合させる際に出る膨大なエネルギーを利用するもので、この化学反応は太陽と同じ原理です。そのため、核融合炉は「地上の太陽」とも呼ばれています。

EX-Fusion 我妻一博さん
「このピカピカピカっていうところですね、ここに燃料が投入されますと、ここで核融合反応が起きます」

炉の中に撃ち出した燃料の重水素に複数のレーザーを当て、急激に収縮させます。そこに、別のレーザーで点火し、核融合反応を起こすのです。

記者
「核融合発電のメリットの1つが、燃料の問題です。実は、この海水の中から無尽蔵に取り出すことができるんです」

海水に含まれる重水素を核融合の燃料として活用すると、使い切るまでには30億年かかると言われています。

EX-Fusion 我妻一博さん
「いま我々がやっている仕事の技術は“30億年使える技術”。その礎を作っているということになります」

いま検証を進めているのは、核融合を実際に起こすことではなく、燃料にレーザーを連続して確実に当てることです。

実用化に向けては、数ミクロンのターゲットに複数のレーザーを1秒間に10回当てることが求められます。実現すれば、世界初の技術です。

しかし、課題もあります。

核融合炉の建設には数千億円から数兆円かかるという見立てもあります。

また、量は少なく、管理する期間は短いものの、低レベル放射性廃棄物が発生します。

こちらの会社では、大阪大学の中にある本社と連携して研究を続けています。

大阪の本社では燃料を打ち出す装置などを、浜松ではレーザーの制御を中心に研究しています。

「浜松の皆さん、よろしくお願いします」

浜松に研究拠点を置いたのは、光産業が発展していることに加え、チャレンジ精神にあふれる土地柄にひかれたからだといいます。

EX-Fusion 松尾一輝CEO
「浜松市、静岡県というのは、これまで日本の産業を支えてきたような自動車会社や、そういったものを生んできた長い歴史の中で、“やらまいか精神”がある地域だと認識している」

浜松の地で、レーザー核融合発電は確かな一歩を踏み出しています。

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