北海道教育委員会は、札幌の道立高校の男性教諭が去年、知的障害のある生徒に発達の検査を無断で行い、診断されていない病名を、校内で共有するなどの行為があったと発表しました。

道教委によりますと、札幌市内の道立高校の定時制に、去年4月に入学した知的障害がある生徒に対し、特別支援教育を担当する男性教諭が、独自の判断で診断を受けていない「血管性認知症」という病名が書かれた資料を作り、校内で共有したほか、本人や保護者の同意を得ずに、発達の検査を行ったということです。

道教委の第三者委員会は、31日、調査報告書を発表し、学校内では、特別支援教育の経験がある男性教諭1人の提案に判断を委ねる傾向があり、保護者との合意形成も欠いていたと指摘しました。

第三者委員会 大崎康二弁護士
「実態に即した『合理的配慮』、要するに学校の普段の生活だけでは見えない、その生徒の特徴や本心をわかっているのは当然、保護者なので、保護者も支援者の仲間の一員として位置づけて、議論に参画していってもらうことが必要と思う」

文部科学省は、障害がある生徒に必要な支援を検討する際は、本人や保護者と合意形成をすることが望ましいとしています。

道教委は、再発防止策として「合理的配慮」に関わる研修会などを開き、特別支援教育に関する教員の知識を深めるなど、ほかの学校も含めて体制の充実を図るとしています。

 北海道内の公立高校は定員割れしている場合、障害の有無にかかわらず、全員が入学できるよう配慮するとされています。

障害など「違い」に関係なく、すべての児童・生徒が同じ空間で学び合うことを「インクルーシブ教育」といいます。

 今回の問題が起きた学校でも、教育理念として掲げていたということなんです。

調査報告を受け、生徒の母親は…。

 「合格した当初は、重度の障害がある子どもを受け入れることに挑戦してくれたことには、感謝していた」

 「『インクルーシブ教育』とは何かについて、先生方でも考えはさまざま。(再発防止の)研修ではそういうことから考えてほしい」とHBCの取材に話しました。

現場は学校かもしれませんけれども、外部の有識者の意見を取り入れるほか、社会全体でどういう仕組みを作って行けばいいのかとう議論は、まだまだ日本の社会では必要かなと思います。

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