能登半島地震で石川県輪島市にある自宅兼ピアノ教室が被災し、いまも遠く離れた場所で避難生活を送るピアノ講師がいます。再び輪島の子どもたちに音楽の楽しさを届けたいと27日から出張ピアノ教室を始めました。

久保典子さん「なんか背伸びたんじゃない?茉奈も伸びたよ」

生徒たちとの久しぶりの再開を喜ぶのは、輪島市でピアノ教室を営む久保典子さん。久保さんの自宅兼ピアノ教室は地震で全壊し、現在は小松市にあるみなし仮設住宅で暮らしています。

被災地ではピアノを習う子どもたちの練習もままならない中、久保さんが27日から始めたのが「ピアノ出張レッスン」です。

久保さん「じゃあ久しぶりの5カ月ぶりのご挨拶からやわ。お願いします」

この日は小松市から片道3時間以上かけ、150キロ近く離れた輪島市海士町に住む小学5年生の上濱叶夏さんと妹で3年生の茉奈さんの家でレッスンを行いました。

久保さん「ずっとピアノできなかったので5カ月ぶりにレッスンができてすごい楽しいです」

茉奈さん「えっとね、スタ...スタカート、スタッカートね」

久保さん「(出張レッスンのきっかけは)地震があってから4カ月くらいピアノに向き合うことというか、ピアノのことを考えるのも正直辛かったんですけど、輪島の子どもたちが習い事もできないという状況を聞いて。この子たちに学びを辞めさせないというかそれが私の使命かなと思って、自分にできることってずっと4カ月間考えてたんですけど、やっぱりピアノしかないので、自分のできることをやろうと思って」

久保さん「町中にこのキレイな曲聴かせてあげるみたいに弾いてみて。叶夏ちゃん主役だわ。あそこのお隣さん越えてもっともっと遠くまで聴かせてあげて」

輪島の町に響き渡るピアノの音色。久しぶりの再開とピアノのレッスンに生徒たちにも笑顔があふれます。

上濱茉奈さん(3年生)「うれしかったです。楽しみだし、色んな曲もスラスラ弾いてみたい」

上濱叶夏さん(5年生)「(レッスンできなくて)暇だなぁみたいな感じでした」「(家でのレッスンは)なんか緊張しました。うれしいです」

久保さん「ぜひぜひ諦めずにまたやりたいなと思う方がおいでたら、躊躇せずにというか、やりたいことはやってほしいですし」

ピアノ講師の久保さんは今後、月に2回のペースで輪島での出張レッスンを行う予定で、金沢などに避難している生徒たちの所でも開いていきたいとしています。

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