高校時代、学校で受けた「いたずら」で、人生が変わってしまった男性が岐阜県にいます。座ろうとした椅子をこっそり後ろに引かれた時に転倒…男性は今も、車いす生活です。

激しくぶつかり合う車いす。車輪を巧みに操る、白熱のプレーです。車いすバスケットボールの『岐阜Shine(ぎふシャイン)』。

岐阜県唯一のチームで、取材に訪れた日は週に2回の練習中。多くの選手が仕事の合間を縫って参加しています。選手の一人、岐阜県出身の山田雄也さん(28)。

山田さんは10年前、高校の教室で起きた「ある出来事」がきっかけで、車いす生活を余儀なくされました。

(山田雄也さん 28歳)
「クラスの女子生徒が後ろから椅子を引いて、不意にやられたので受け身も取れずに机の角で背中を打って、地面にお尻が突き上げる状態で転倒してしまった」

当時高校3年生だった山田さん。休み時間、教室で自分の席に座ろうとしたとき、クラスメイトからこっそり椅子を後ろに引く「椅子引き」のイタズラをされました。

バランスを失った山田さんは、背中を机の角で、そしてお尻を床に強く打ち付けられ、倒れこんだのです。

(山田さん)
「背中と腰に激痛が走って、そのまま緊急搬送された。目が覚めた時には下半身の感覚がなかったので、その時はすごくショックを受けた。本当に自分の体なのかなみたいな感じ」

山田さんは脊髄を損傷。手術をしましたが、下半身に麻痺が残り、その後の人生も大きく変わってしまいました。

「けがをした週も国体の選考会が…」子どもたちに伝えたい“危険性”

(山田さん)
「僕は小学1年生からずっとバスケをやっていて、プロを目指してやっていた。けがをする週も国体の選考会が控えていた。本当に絶望は大きかった」

取り返しのつかない事態を招いてしまう危険な「椅子引き」。

専門家も、警鐘を鳴らしています。

(岐阜大学 医学部整形外科 野澤聡准教授)
「座ろうとしている人は完全に無防備なので、普通に転ぶときよりも筋肉が弛緩していてドンと転んでしまう。脊髄損傷に限らず頭部外傷、頭を強く打ってしまったり、その他の骨折も起こりうる危ない行為だと思う」

バスケットボールのプロを目指していた山田さん。

岐阜SHINEのチームメイトからの紹介で7年前、21歳で車いすバスケを始めました。今は、日本代表を目指し、練習に打ち込んでいます。

(山田さん)
「健常者のときはすぐ横に移動できたけれど、車いすはできない。ジャンプもできないし、自分の中でもどかしさもあった」

山田さんは人生が大きく狂ってしまった自身の経験をSNSに投稿し、「椅子引き」の危険性を訴えています。

(山田さん)
「もしやっている子がいたら、近くの子が椅子を引くのはダメだと注意する。先生たちにも注意をしてもらいたい。僕と同じような体になってほしくないという気持ちがあるので、椅子を引くことは危険で、絶対にやってはいけないと伝えたい」

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