東京駅と羽田空港を結ぶ「羽田空港アクセス線(仮称)」の建設に伴い、JR田町駅(東京都港区)北側の試掘で見つかった明治初期の鉄道遺構「高輪築堤(たかなわちくてい)」のうち、当初の建設ルートで取り壊される見込みだった約100メートルが地中で保存される見込みとなった。JR東日本が15日、ルート計画の変更を明らかにした。

◆トンネルの入り口を移し、解体範囲を縮小

 アクセス線は、東京駅を出て田町駅北側で羽田方面にトンネルをくぐるルートを通り、2031年度の開業を見込む。試掘や史料から、トンネルが築堤の遺構約160メートルや江戸後期に薩摩藩が造った砲台「薩摩台場」跡を通ることが分かり、JR東日本の有識者委員会などが対応を検討していた。  変更案では、トンネルの入り口を南に約100メートル移設し、記録後に解体する範囲を約60メートルに短縮する。保存される約100メートルは東海道線や山手線などの線路の下にあり、当面は見られない。薩摩台場も記録保存する見込みという。

◆「雑魚場架道橋」は約150年前の鉄道開業時から…

鉄道開業時の橋台が残る可能性が指摘される「雑魚場架道橋」=東京都港区で

 また、JR東日本は付近で歩行者が線路をくぐるガード「雑魚場(ざこば)架道橋」について「鉄道開業時の橋台が残っている可能性が高い」との見解を示した。開業時の始発駅・新橋から数えて5番目の「第5橋梁(きょうりょう)」とみられる。JR高輪ゲートウェイ駅西側で発掘された「第7橋梁」は国史跡として保存が決まっている。  JR東の有識者委員会で委員長を務める谷川章雄・早稲田大元教授は「アクセス線の計画を止めない限り、築堤をこれ以上、現地で保存するのは難しく、記録後に一部を解体するのはやむを得ないと考えている。薩摩台場の様子が明らかになる点は期待したい」と話している。(梅野光春、奥野斐) 

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