北海道内ではクマの出没が相次ぎ被害も出る一方で、北海道空知地方の奈井江町では、警戒や駆除に当たる猟友会のハンターが出動を断る事態が起きています。
北海道空知地方の上砂川町です。
上砂川町内では、5月に入ってからクマの目撃情報が3件寄せられています。
北海道猟友会砂川支部 池上治男支部長
「ここを通って下りたのは間違いない。親子のクマだ、おそらく」
周辺には住宅や学校があり、上砂川町は地元の猟友会に要請して、連日警戒しています。
ハンターが現場を確認することで、クマの動きを捉え町に情報提供します。
町民に危害が及ぶ恐れがあると町が判断したときに、速やかに駆除に移せる態勢を取っています。
北海道猟友会砂川支部 池上治男支部長
「ヒグマの目撃情報が来たら、すぐに現場に行って確認している。住民が被害に遭わないように(町に)アドバイスしている」
上砂川町の隣り、奈井江町です。クマの目撃情報が多く、去年1年間で20件が報告されています。
警戒や駆除が必要と判断された場合、これまでは、奈井江町が地元の猟友会のハンターらに出動を要請し、ハンターらは個別に「無報酬」で対応に当たっていました。しかし…。
北海道猟友会砂川支部奈井江部会 山岸辰人部会長
「4月に(奈井江町から)来てくれと言われて、行ったらこれが出てきて、この危険手当で1日呼んでこれはないだろう。うちらとしては(要請を)断った」
奈井江町は、町内でクマの出没が増えていることを受け、4月、クマが出没した時に対応するチームを立ち上げて、猟友会に参加を求めましたが、猟友会の奈井江部会はこれを辞退しました。
理由は「報酬」です。
北海道猟友会砂川支部奈井江部会 山岸辰人部会長
「奈井江町が示した金額4800円、高校生のコンビニのバイト以下。命がけの仕事をこんな“びた銭”でやらなくてはいけないのか。やっていることに対して正当な評価をされていない」
奈井江町が示した報酬額の案は、出動手当として1日4800円、ヒグマの警戒の場合これに3700円を加算、駆除のために発砲した場合には、さらに1800円が加算され、最大1万300円です。
他の自治体を見てみると、札幌市は1回の出動につき2万5300円、幌加内町は1日1万5000円、北海道東部の標茶町は1日1万2000円で、出動のレベルに応じて加算されます。
北海道猟友会砂川支部奈井江部会 山岸辰人部会長
「緊急連絡用の電話は用意してくれるのか?(奈井江町からは)『予算はありません』と。これでやれるならやってみろと」
ハンターらが「安すぎる」と不満を漏らす報酬額。猟友会が辞退したことに奈井江町は「猟友会側からは『人員不足のため辞退するという通知』だったが、報酬の件が取りざたされて突然のことで面食らっている」と話しています。
すでにヒグマの動きが活発になっている中での「ハンターの不在」に町の人は…。
町の人
「役場の近くにもクマが出て、危ないなと思っているが…」
「これから墓に行くが、食べ物がたくさんあってクマが出るか心配。うまく話をつけてくれれば…」
奈井江町は「これからも協議を続けたい」と話す一方、猟友会側は「我々としてはすでに終わった話」として応じない姿勢を崩していません。
出動を辞退する理由のひとつが報酬だったわけですが、改めて見てみます。
奈井江町が示した報酬額の案は、出動手当として1日8500円、駆除のために発砲した場合には1800円が加算され、最大で1日1万300円です。
一方、札幌市は「1回」の出動で2万5300円、北斗市は1日2万5000円、幌加内町は1日1万5000円などとなっています。
このほか、クマの捕獲や運搬などをした場合に加算される仕組みです。
奈井江町と猟友会は話がこじれている状況ですが、ヒクマの脅威というのは時間を待ってくれません。良い解決方法をなんとか探って解決する道を見出して欲しいと思います。
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