青森県内でクマの目撃が相次ぐ中、クマに襲われたとみられる遺体がみつかり、警察官2人が大けがをした秋田県鹿角市では、周辺の山を入山禁止にする措置をとっています。

専門家は、6月頃まではクマの繁殖期にあたるため、警戒を呼びかけています。

クマに襲われたと見られる男性の遺体発見の秋田の山林 遺体搬送が難航

5月18日、秋田県鹿角市の山林で三戸町の61歳の男性を捜索していた警察官2人がクマに襲われ、大けがをしました。現場の付近では、クマに襲われたと見られる男性の遺体も見つかっていますが、現場にクマがいる可能性が高く、遺体の搬送が難航していて、現在、搬送のための林道を整備しています。

今回の被害を受けて、秋田県内では小坂町樹海ラインと、鹿角市十和田大平地区の2か所が入山禁止となっています。

青森県内では、5月15日までに47件のクマの目撃情報が寄せられていて、青森県はツキノワグマ出没注意報を発表して注意を呼びかけています。

日本ツキノワグマ研究所の米田一彦所長は、5月中旬~6月にかけてはクマとの遭遇に特に注意が必要だと指摘しています―。

現在は1970年の10倍以上となる3万5000頭が生息と推定のツキノワグマ

日本ツキノワグマ研究所 米田一彦所長
「クマ側でも交尾期で、大きなオスグマが若いオスグマを食べる、あるいは母子の中でも子グマをオスグマが食べるという状況で、共食いが非常に起こる時期。クマ同士で非常に緊張状態にある中で、人間が入ってくるとびっくりして襲われる」

ツキノワグマ研究所によりますと、1970年ごろは本州に3000頭のツキノワグマがいるとみられていましたが、現在は10倍以上となる3万5000頭と推定されているといいます。

日本ツキノワグマ研究所 米田一彦所長
「特に青森県は1970年代に比べると生息域がおそらく2.5倍くらいに増えている。昔は三八上北地方はいないはずだったが、いまはびっしりといる。その点では、青森県では広がりが日本で一番あると思う」

クマへの対策のため、山に入る際はクマ用のスプレーのほか、遠くまで音の響く鈴や笛を持っていくことが重要だとしています―。

重要なクマ対策「西洋のベル・笛がいい」

日本ツキノワグマ研究所 米田一彦所長
「こういう鈴がいいです。西洋のベル。こういう鈴(下部に裂け目があり、空洞の中に、小さい玉が入っている物)は音が通らない、遠くまで届かない。もうひとつは笛、150mくらい聞こえますので、こういう小物を持参して山に入るようにしてください」

研究所は、管理されていない果樹園が増えていることから、人里へのクマの出没も増える可能性があるとして、被害を防ぐための対策が必要だと呼びかけています。

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