東京電力は17日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の汚染水を浄化処理した後の放射性物質のトリチウムを含む水について、通算6回目となる海洋放出を始めたと発表した。今回は6月4日の終了を予定している。

福島第1原発=2022年3月撮影

 海洋放出は昨年8月に1回目を実施し、本年度では2回目になる。今回の放出量は、浄化処理で取り除けないトリチウムを含む処理水約7800トン。大量の海水と混ぜ、濃度を国の排水基準の40分の1未満にして放出する。本年度は計約5万4600トンを7回に分けて放出する。  原発周辺での東電の海水測定では、これまでに1リットル当たり最大29ベクレルのトリチウム濃度を検出。放出停止を判断する700ベクレルを下回っているとした。  放出への中国などの反発は収まらず、水産物の輸出停止が続いている。風評被害への賠償件数は5月15日現在で約90件、総額は約98億円となった。  通算5回目(本年度1回目)の放出中だった4月24日には、別の作業で誤って電源ケーブルを損傷させたことで停電が発生し、放出が約6時間半にわたり停止するトラブルがあったが、計画通り放出を終えた。(渡辺聖子) 

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