食卓で愛されるブリの幼魚フクラギ。秋がシーズンといわれますが、今年の4月の漁獲量は過去10年で最も多かったんです。しかもお腹からたくさんのホタルイカが…。一体なぜ、調査してきました。
こちらは5月12日に撮影されたスーパーでの写真。パックいっぱいに盛られたフクラギの刺身がなんと298円!激安です。
フクラギは「福が来る魚」として人気の出世魚で富山湾の冬の味覚を代表するブリに成長します。
本来は秋に漁の最盛期を迎えるフクラギに今、異変が起きているのです。
富山県水産研究所によりますと、県内のフクラギの水揚げ量は4月が60トンと例年の5倍…。過去10年でみても最も多くなりました。
嘉藤奈緒子アナウンサー:「(スーパーの)鮮魚コーナーに行ってみますと、ぎっしりとふくらぎの刺身が並んでいます。ただ、そこまでかなり安くなっているというわけではないですね」
バロー滑川店 高野壮壽さん:「きょうは漁獲量が少なくてこのお値段なんですけれども、先週末くらいでも漁獲量が例年に比べて多くて、お客様にお求めやすい価格でご提供できているかなと思います」
その日によって漁獲量が大きく異なるフクラギ。
ホタルイカに混じりフクラギが…
きょうはどれぐらい獲れるのでしょうか。
嘉藤アナ:「午前2時の滑川漁港です。これから定置網漁に同行します」
嘉藤アナ:「出港からおよそ15分、定置網の場所に到着しました。これから網を引き揚げます」
乗組員らが網を手繰り寄せると…。
嘉藤アナ:「こちらはほとんど、ホタルイカですね」「お!フクラギ!ホタルイカに混じって、フクラギが獲れました」
しかし、獲れたのはわずか1匹…。
その後も別の網へ移動し引き揚げますが、フクラギは合わせて3匹、なかなか獲れません。
そして、朝日が昇り始めた午前4時ごろ。
嘉藤アナ:「こちら最後の定置網には、フクラギが入っているのでしょうか」
漁師:「ラギ、ラギ!」(フクラギの略)
ホタルイカを追って“網”に入り込むのか…
嘉藤アナ:「あ!ホタルイカに混じってフクラギの姿が確認できます」
嘉藤アナ:「結構フクラギ混じっていましたね」
漁師:「いや、全然おらんかったね。めっちゃ少ない」
嘉藤アナ:「最近どれくらい入っていますか?」
漁師:「めっちゃ(たくさん)。これに、30とか、このざるに」
この日1番多かったのは、今シーズン記録的な漁獲量となっている春の味覚ホタルイカ…。
今年はホタルイカの豊漁に伴い、フクラギも多くとれていたといいます。
第三定栄丸船頭 水野豊さん:「先月まで、ホタルイカもたくさんいたんですけれど、今月になってホタルイカの量も減ってきて、フクラギの量も減ったんじゃないですかね」
ホタルイカの豊漁がフクラギの漁獲量に関係しているのでしょうか。フクラギの胃袋の中を見てみると…。
嘉藤アナ:「おお!フクラギのお腹の中から、たくさんのホタルイカが出てきました!」
漁師:「いっぱい食べていますわ。1、2、3、4、5、6、7、9!」
ホタルイカがフクラギのエサとなっているのです。
第三定栄丸船頭 水野豊さん:「一応、ホタルイカを食べているんで、それを追って(網に)入ってきているんだと思います」
ホタルイカの“網”に入ってほしくない…
富山県水産研究所によりますと、今年(3月)はホタルイカの漁獲量が1953年の統計開始以来、過去最高となりました。
フクラギの漁獲量との関連について聞いてみると…。
富山県水産研究所の担当者:「ホタルイカが多いこととフクラギが多いことに関係性は考えられないです。今年は特にホタルイカが多いため食べている量も増えているのでは…」
ホタルイカとフクラギの漁獲量に関連性はないということでした。
季節外れのフクラギの豊漁。漁師の皆さんも喜んでいると思いきや…。
第三定栄丸船頭 水野豊さん:「今の時期は(フクラギが獲れても)全然うれしくないです。(網の中で)ホタルイカが痛めつけられるので、品物が悪くなるので」
漁師たちは本格的なシーズンである秋の豊漁に期待を寄せています。
富山県水産研究所によりますと、フクラギが多いのは、去年生まれた数が多かったから…。なぜ多かったかはまだわからない。フクラギを獲りすぎるとブリへの影響が心配されますが、フクラギの母数が多いので、獲りすぎてブリの数が減るということは今のところ考えにくいとのことです。
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