熊本地震から8年です。2度の震度7を観測した益城町の姿は大きく変化しています。益城町の今を取材しました。

益城町で尋ねた「町の変化」

「空地があるでしょう。こういうところは転居というか、別の所に移っている。さみしいですね。人が少なくなるのは」

「道とか知り合いの家がとてもきれいになった」

「(県道が)広くなったので、朝とか仕事に行きやすくなりました」

益城町では県道熊本高森線の4車線化の事業が進められています。車で走ってみると…。

記者「この道も広くなって、4車線になっています」

4車線になる3.8キロのうち、既に約1キロが開通していますが、4月14日には益城町惣領(そうりょう)までの区間も利用できるようになります。

新しくなるものがある一方で、なくなったもの

記者「県内最後の仮設団地『木山仮設団地』の場所には現在なにもなく、更地が広がっています」

県内の仮設団地はピーク時(2017年5月末)には110か所ありましたが、去年3月木山仮設団地が閉鎖となり全ての仮設団地がなくなりました。

益城町で農業を営む田上勝志(たのうえ かつし)さんは4世代9人で木山仮設団地に住んでいました。

田上勝志さん「最初はゆっくりできるという感じではなかった。でも、慣れてくるとそれが当たり前になっていて、いつの間にか仮設が家になっていた」

田上さんは仮設団地があったから地震から立ち直ることができたと話します。

田上さん「あそこに住んでいたなと通るたびに思うが、(住民が)いろいろな再出発をされたから こうなったんだと思うと、いい方向になっているんじゃないかと思う」

「なんのための区画整理か」

徐々に町の復興が進む中で苦しい思いをしている人もいます。

益城町に住む小嶺隆(こみね たかし)さんです。

小嶺隆さん「わが家もまた建て直さなければいけない」

区画整理事業で被災後に一度は建て替えた自宅の敷地に道路ができることになったのです。

小嶺さん「寝耳に水ですよ。なんでこんなところに道路がいるのですかと。『(町の担当者が)区画整理です。決まりましたから』と」

益城町では災害に強い町を目指して、町中心部の約28.3ヘクタールを対象に道路や公園などの公共用地や宅地整備が進められています。

この区画整理事業が持ち上がったのは小嶺さんが自宅を再建した後でした。

小嶺さん「(区画整理事業が)本当に町のためにできているという実感は持ちません。なんのための区画整理かと思います。住民を苦しめているだけです」 

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