青空を気持ちよさそうに泳ぐこいのぼり。

子どもの健やかな成長を願うこの時期の風物詩ですが、最近ではあまり見かけなくなりました。

こちらの屋根より高い所を泳ぐこいのぼりは、長さが10メートルで、この時期になると毎年、元気に泳いでいます。

長野市若穂綿内(わかほわたうち)で見つけました。ただ、気になることがあるんです。

SBCニュースワイド宮入千洋キャスターリポート:
「見てください『おやき』『柏もち』って書いてあります」

実はこちらはおやき屋さんのこいのぼりなんです。

信濃製菓・小宮山幸広社長:
「(自分や子どもが)こいのぼりをあげるという年でもなくなったけど、こいのぼりのお腹に『柏もち』などの文字が入っていたら面白いのではということで、ここ数年、もう十数年経っています」

こいのぼりを見ていたら、ついついお腹が空いて店に立ち寄るお客さんもいるそうです。

創業して62年の信濃製菓。

今の時期のおすすめは、なんといっても柏もちです。

社長の小宮山幸広さんが、手仕事で生地を作ります。

小宮山社長:
「水の温度によっても違いがあったりするので、記事がまったく毎回一緒というわけではないですね。(その日によって違う?)そうですね。触りながらですね。触っているので。あっついんで。そうですよね。蒸かしたてですもの」

熱さに負けず、社長の小宮山幸広(こみやまゆきひろ)さん、このあとも柏もちの生地をこねる、こねる、またこねる。

小宮山社長:
「あともう一回いきます」

なんと一連の作業をもう一回。

さらに、こしあんと粒あんで、別の生地を作るというこだわりです。

小宮山社長:
「(こだわりが店の味につながっている?)味を落としたくないので。お客さんを裏切りたくないし、おいしいって言ってもらいたい。柏もちっていうのは、みずみずしいのが売りですので」

長野市内のお客さんは:
「おいしいですよ。(生地が)つやつやしてる。あんこがおいしいんですよね。20年くらい前からいただいています。こちらの味は」

手仕事へのこだわりはこちらも…。

大量のキャベツの千切りは、おやきの仕込み作業です。

社長の叔母・倉嶋京子さん:
「軟らかいところは大きめに切っても大丈夫だけど、硬い芯の部分は細かく切る。これが機械だと調節できないんですよ。(切り分けている?)そうですね。(機械よりすごいじゃないですか)そうですね」

キャベツは30玉、さらに大根およそ100本など、刻んだ野菜がてんこ盛り。

野菜ミックスなどのおやき、およそ2000個分になります。

社長の叔母・倉嶋京子さん:
「手でやった方がなんとなく美味しく私は感じます。昔ながらのせいかね。愛情こもってて」

小宮山社長:
「昔ながらの生地なんですけど、それぞれのおやきで(生地を)変えています。先々代が和菓子職人で、食べたときに甘みを感じられるような生地を考案した」

小宮山さんは信濃製菓の3代目。

創業者の喜六(きろく)さんは、小宮山さんの祖父にあたります。

小宮山社長:
「祖父(喜六さん)が私が中学2年のときに他界して、信濃製菓を閉店する話もあったが、じいちゃんばあちゃんの思い出のこの工場をなくしてほしくなくて、私が父に、何とか社長に就いて店を続けてもらえないかとお願いした」

小宮山さんの父・忠義さんは、建築の仕事をしていましたが、そのまま信濃製菓の2代目となり、店の味を守り継ぎました。

小宮山社長:
「朝おやきを作ってから建築に行って、非常に頑張ってくれた。(店を)残してくれたので、ありがたく思っています。3代目(の私が)つぶさないようにしないといけないですね」

4月25日、信濃製菓のこいのぼりが今年もあがります。

竿の長さは、およそ20メートル。

作業を仕切るのは毎年、忠義さんですが…。

社長の父・小宮山忠義会長:
「本当は今年(こいのぼりを)やめようと思った。立てて、倒さなくてはならない。大変なんだよ」

忠義さんは5月で81歳。クレーン車を使っての作業とはいえ、20メートルの竿を立てるのは重労働です。

しかし、毎年楽しみにしているお客さんの声と家族からの後押しもあり、今年も引き受けました。

倉嶋京子さん:
「毎年、これが一大仕事ですよ。お祭りかな、小宮山家の」

子どもや孫のためにあげてきたこいのぼり。

補修や新調を繰り返しながら、店の歴史も見守ってきました。

小宮山忠義さん:
「社長の時代からあげていて竿は2本目。(何年こいのぼりを?)もう50数年だね。孫の代になって(再び)あげた」

そして…

「それじゃああげますよ」
「あげてもらっていいよ」
「ありがとうございました。無事にあがりました完成です」
「一番きれいかも。きょうがそうだな、ほんとだ青空でそうだな」

小宮山忠義さん:
「また今年も無事にあげられて本当によかったと思います。間隔も、きょうはうまくあがったし、きょうは最高の日だね」

地域に愛される店の味。

そして、こいのぼりとともに親から子へ、孫へ愛情も受け継がれます。

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