寒さが本格化し、石油ファンヒーターや石油ストーブが活躍する冬。燃料の「灯油」を入れるポリタンクの「色」には、赤色と青色があるのをご存じでしょうか。青と赤のポリタンク。その境界線、実は富山だった?調べてみると…。
記者:「暖房器具が活躍する季節がやってきましたが、ポリタンクの色、みなさん何色を使っているでしょうか」
灯油のポリタンク。青色と赤色の2色がありますが、富山県内ではどちらが多いのか? 富山市内で街行く人に聞きました。
街の人:「うちはブルーです」
街の人:「青色」
街の人:「青ですかね」
15人中、15人全員が青を使っているという答えに…。
それではポリタンクを販売している富山県内のホームセンターで聞ていみると…。
ムサシ富山店 栗山充啓さん:「青だけです」
店内にはずらりと青のポリタンクだけが並びます。
ほかの市や町の店舗を調べてみると、富山県東部の入善町にあるカーマ入善店では青色だけ、富山県西部の氷見市のムサシ氷見店でも青色だけでした。
そんななか県西部、高岡市のホームセンターひらせい高岡内島店に行くと、赤色のポリタンクが青色と並んで置いてありました。
青と赤、売り場面積は同じでも、売れ行きには大きな開きがあるといいます。
ひらせい高岡内島店長:「前から(赤青)置いてあるんですけども、赤と青で比べると赤の2倍青のほうが販売数はあります」
ここでも青色ポリタンクの方が売れているといいます。
そこで、富山県内にあるホームセンターに問い合わせてみたところ…。
青色のポリタンクしか取り扱っていない店舗の方が圧倒的に多いことがわかりました。赤色のポリタンクを置いている店舗はわずか数店舗でした。
■なぜ、少数派の赤が販売されているのか…
それではなぜ、ひらせい高岡内島店には赤色のポリタンクが売られているのか?
それにはこんな理由があります。
民間の気象会社ウェザーニューズの調査によると、実は家庭で使われるポリタンクの色は東日本・西日本で分かれていることがわかりました。その境界線は、富山と新潟の間。本社を新潟に置く、ひらせいでは主に赤色を店舗で取り扱っているということなんです。
ひらせい高岡内島店 仲原和行 店長:「新潟なので、出身が…。私のイメージからすればポリタンクは赤っていうイメージだったので」
本当に新潟県民は赤色を使っているのか。富山県境の町、新潟県糸魚川市市振で話を聞いてみると…。
地域の人:「両方、赤と青と。(Q:2色持っている?)はい」
「これです。昔から灯油は赤!」
ここでは赤が多数派。
新潟と富山の県境が、赤、青の境界線になっているのは間違いなさそうです。
それでは、なぜ東西で色が分かれてしまったのか、日本ポリエチレン製品工業連合会に聞くと…。
日本ポリエチレン製品工業連合会:「東のほうのところはもともと危険物って言う視点で目立つ赤色がいいと思ってつけられたんですけど、西のほうの会社さんはなぜか青を選んだと。うわさではそのとき持っている『顔料の中で(青が)安かったから』といううわさは聞いたことがありますけど…」
諸説ありますが、東京中心の赤と大阪中心の青が広がった結果、富山と新潟がちょうど境目になったとみられます。
■法的にはどちらが正しいのか…
それでは、法的にはどちらの色を使うのが正しいのでしょうか。
日本ポリエチレン製品工業連合会:「規格上は色の指定はないんです。光を通さない規定がちゃんとあるのでそこで各社が好きな色をつけたというのが発端となったのです。正直に言うと偶然なんですね」
なんと、光を通さなければ灯油のポリタンクは何色でもいいというのです。
実際に富山県以外にはピンクやオレンジ、緑など、赤と青以外の色を販売しているところも…。
ポリタンクの色には、灯油の品質低下を招く紫外線を抑える働きがあり、劣化した灯油は、暖房機器に詰まるなどして火災のきっかけになります。
青も、赤も、ピンクも、オレンジも…。
灯油を保管するポリタンクは私たちの命と財産を守る、なくてはならないもの。
正しく使い、こまめに換気をしながら、安全にこの冬を乗り切りましょう。
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