最近、街で増えている乗り物「モペット」。一見自転車にも見えますが、ペダルを漕がなくてもモーターだけで走る電動原付バイクです。

急速に数が増えている中、交通違反や暴走運転など、さまざまな問題も起きています。

無免許運転で接触事故 赤信号無視の“暴走モペット”も

2024年1月、東京・新宿区の路上で、24歳の男性がモペットを無免許で運転し、信号無視をした上で、自転車の女性と接触する事故を起こしました。

女性は骨折、運転手は書類送検されましたが、その後不起訴になりました。

名古屋・栄では、赤信号を無視して横断歩道を突っ切り、人混みの中を走り抜ける“暴走モペット”も。

現場の横断歩道は幅12メートルで、横断にかかった時間は1.2秒。この時出していたスピードは、時速36キロです。そもそも、横断歩道を走ること自体が重大な違反です。

東京・世田谷区では、音もなく後ろから迫る1台の違法モペットが、車の横をかすめるように追い抜いていきます。

(車の運転手)
「ライトも暗いし、音もしない。(自分の車の)スピードは40キロだった。(違法)モペットは、かなりのスピードで追い抜いて行きました」

自転車のように見えても、法律上は運転免許証必須の“原付バイク”

モペットは、見た目は自転車ですが、法律上は運転免許が必要な原付バイク。ナンバープレートとヘルメット、自賠責保険が必要です。2024年11月の法改正で、ペダルだけでの走行時も歩道の走行は禁止されています。

警察も取り締まりを強化しています。モペットで走行中に検挙されたベトナム人の男性は、ノーヘルメットで、ナンバーもなく、歩道走行をしていました。

警察官は、原付バイクと同じ扱いであることや、歩道を走ってはダメなこと、ナンバーやミラー、ウインカーが必要なことを説明します。

男性は、11月の法改正は知らなかったそうで、ネットショッピングで購入した際、原付バイクであることの説明は受けなかったと言います。

愛知県警によると、モペットの摘発件数は、2023年は75件だったのに対し、2024年は10月末時点で、すでに200件に上っています。

(愛知県警 交通総務課・平松裕敏課長補佐)
「手軽に乗れるということで、軽い気持ちで違反を犯している人もいる。違反があれば、厳正に取り締まりをしていきたい」

ネットでは悪質な改造部品も販売

ネットで簡単に買えて、自転車との区別がつきにくいモペット。違法に速度を上げるための改造部品など、悪質なものも売られています。

国民生活センターは、改造部品の危険性を呼びかけています。実験映像では、改造部品を取り付けた電動アシスト自転車が、本来アシストが停止する時速24キロを超えても加速し続けます。ついには、時速40キロを超え、原付バイクも追い抜かすほどに。

2024年11月、改造部品をネット販売していた男性5人が、書類送検されました。

その際、大手メーカーのロゴを無断で使用した商標法違反の疑いが持たれています。改造により事故が起きた場合、重大な過失が問われるケースも。

次々に危険性が表面化する新しい乗り物モペット。利用者と交通違反が爆発的に増える中、何らかの規制は待ったなしの状況となっています。

CBCテレビ「チャント!」2024年12月2日放送より

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