子どもたちが素直な気持ちで作った絵や工作は見る人を元気にする力があります。
今、施設のお年寄りたちに子どもたちの作品を見てもらう取り組みが、鳥取市で進められています。
仕掛け人は世界的なエアブラシアーティストのYASUさんです。

「これは何かわかりますか?」
「怪獣?カエルですな?」
「いやー、幼稚園の人達がこんな絵を描くとは、想像つきませんね」

子どもたちの作品を一目見たお年寄りの感想です。
どんなふうに作ったか思い浮かぶような元気いっぱいの作品の数々。
思わず顔がほころびます。

この取り組みの仕掛け人がエアブラシアーティストとして世界的に活躍するYASUさん、去年までは子どもたちが撮った写真を中心に高齢者施設で展示していましたが、今年は絵や工作に切り替えました。

エアブラシアーティスト YASUさん
「ちゃんと受け止めて頂いて、エネルギーを感じられたのを見て、非常にうれしく思いましたし、やって良かったなと今思っています」

準備は今年の春には始まっていました。
鳥取市内の保育園に来たYASUさん、まるで一緒に遊ぶように子どもたちと作品づくりを始めました。
作品のヒントにしようと、子どもたちとYASUさんは事前に保育園の周りの野山に出かけ、色んな生き物や草花と出会いました。

子どもは
「(今何を描いてる?)てんとう虫描いてる」
「クモ!」
「ハサミムシです!」

出会った生き物が画用紙の上に素直に出てきます。

鳥取福祉会よねさと保育園 安部安佐子園長
「あれが描きたい、これが描きたい、かき立てる楽しさが、画用紙を前にしたり、材料を用意したときに子どもたちがすぐにイメージを思い出して描き始める。そんな感じを受けました。」

力強く、活き活きとした作品が、次々と子どもたちから生み出されました。

エアブラシアーティスト YASUさん
「細かい模様とか、しっぽが長いとか、それぞれが感じた特徴を子どもたちなりに一生懸命表現しているので、大人が表現できないような面白い表現がいっぱいあると思います。」

作品作りで回った保育園は10カ所、YASUさんは秋になると子どもたちの作品をパネル写真の形に仕上げ、お年寄りたちが待つ施設に向かいました。
鳥取市にある「河原あすなろ」もそのひとつ。
数々の作品をパネルにまとめる時には小中学生の力を借りました。

展示すると施設内の一角がぱっと華やかになりました。

エアブラシアーティスト YASUさん
「アートの可能性といいますか、上手い、下手だけじゃなくて、こういった楽しんで取り組んだ作品はやはり人を元気にする。」

お年寄りたちは思わず手を伸ばし、自分が小さい時のことを思い出しているようでした。

お年寄りは
「すごいですな、廃品を使ったことがまたすごいですが。」
「大人顔負けです、トンボでしょ、これ。」
「(これを見ると元気が出てくる?)そうですね、あるじゃないですか。」

感じたことを素直に作品にする子どもらしさ、それはお年寄りたちも人生の中で体験してきたことでした。

河原あすなろ 井殿修子施設長
「すごーい、わぁという驚きの声が出ていました。施設に居ながらにしてこのようなパネル展を見せていただくことができて、大変ありがたいなと思っていますし、それをずっと継続していらっしゃるので本当にすごいなと思っています。」

YASUさんにとっては、写真からアート作品に切り替えて初めての挑戦。
自分も仕事にしているアートが可能性をどんどん広げ、共感の輪を広げていくのを目の当たりにしました。

エアブラシアーティスト YASUさん
「自分のやりたいことをどんどんやってもらうということを大事にしているので、そこの中で子どもたちがこうやりたい、こんなことやってみたいというチャレンジが恐らく皆さんに伝わってるんじゃないかなと思って見ていました。そういった小さい子が作ったアートで街が元気になっていく姿っていうのは見ているのも楽しいので、楽しいっていうことが一番、僕にとっても大事だと思います。」

YASUさんが手がける「温写写写 ワクワクアート展」は、この後も高齢者施設を巡回し、子どもたちの元気を伝えていきます。

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