全国各地の自治体で導入が議論されている「宿泊税」。宮城県と仙台市でも、観光振興の新たな財源として来年11月をめどに課税を始める方針ですが、宿泊事業者の不安や懸念は払しょくされていません。

そもそも「宿泊税」とは…

仙台市青葉区作並にある老舗の温泉旅館、岩松旅館。家族連れやグループが温泉と食事を楽しんでいました。

宿泊客(岩手から来たグループ):
「ゆったり過ごせました。同じ地元の同級生で年に一度の楽しみ」
宿泊客(青森から来た家族):
「いつもビジネスホテルとかに泊っていたが、旅館に泊ってみたいと。めっちゃいい」

非日常を味わえる旅館やホテル。1年後、大きく変わるのが…。

村井宮城県知事:
「宿泊税の導入がどうしても必要」
郡仙台市長:
「宿泊税条例を認めてもらい、大変うれしく思っている」

県と仙台市が、来年11月頃から課税を始める「宿泊税」。素泊まり1人1泊6000円以上を対象に宿泊客から300円を徴収し、観光振興の財源に充てるものです。修学旅行や部活動などは課税が免除されます。

村井知事、自ら必要性訴えるが…

9月、村井知事は、条例案提出に向け事業者を県庁に集め、自ら必要性を訴えました。

出席者:
「新税を創設するのだから、もっと慎重に時間をかけてやるべきだ」
村井知事:
「今後ものすごい勢いで定住人口が減っていく中で、この財源がなければですね…」
出席者:
「一般財源が減るから何で目的税になるのかがよくわからない」

一部、肯定的な意見もあったものの、大半は厳しい意見で事業者らの理解は得られないまま説明会は終了しました。

賛否割れる中、「宿泊税」の条例が成立

一方、郡仙台市長は、定例会見や議会の質疑で繰り返し必要性を訴えました。

郡仙台市長:
「いろいろな観光施策の拡充のためにも安定的な財源がほしい。観光産業の活性化が図られるのが何よりなので」

県と市それぞれの議会でも賛否が割れたものの、10月、県と市の条例は成立しました。こうした行政の進め方に宿泊事業者は不信感を募らせます。

岩松旅館 岩松廣行社長:
「強引なやり方で勝手に自分たちが予算組みしたいから、その予算に合わせて宿泊税を導入したいと」

宿泊事業者の苦悩とは…

宿泊税の白紙撤回を訴えてきた作並温泉・岩松旅館の社長、岩松廣行さん。現場の混乱を危惧します。

岩松旅館 岩松廣行社長

岩松旅館 岩松廣行社長:
「(宿泊税は)現金徴収なのかカードなのか、カードであれば手数料がかかるそうした問題がある。システム改修は、もちろん必要。来年11月は、(改修に)絶対間に合わない」

さらに、「チェックアウト時に450円頂戴なんて言えない」とも話します。

温泉旅館では、すでにある入湯税150円に宿泊税300円が上乗せされることになります。宿泊客の反応は?

宿泊客:
「ちょっと辛いかもしれない」
「仕方ないのかなというのが率直な感想」
「いくらでも安いほうが良い」

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