年末年始を迎えるこの季節、空き巣などの犯罪が増える中で表札などに“不審な印”が相次いで見つかっています。この印、実は注意が必要です。
■「Mw8-20R〇」マーキング公表で意味を変え…
加藤シルビアキャスター:
「侵入窃盗」は、1年を通して12月が最も多く、525件となっています。
※2019年 警視庁の統計資料より
この時期に最も多くなる背景には、年末年始があります。
金融機関が年末年始に休業に入ること、買い出しやお年玉などお正月準備などで、普段よりも多く現金を持っていたり、または自宅保管したりする機会が増えるからです。
侵入窃盗のサイン「マーキング」は、表札以外に▼ポストの裏や下、▼家の塀の角にも書かれていることもあるそうです。
例えば、ポストに「Mw8-20R〇」と書かれていたとします。
それぞれに意味があります。
「M」は男性
「w8-20」は平日8時から20時
「R」は留守
「〇」は侵入しやすい
こういうマーキングについて、セキュリティ会社が意味を公表してきています。
ただ、公表されることによって犯人側は「〇」は侵入しやすい→高齢(赤丸だと女性)のように、意味を変えてきているようです。
元警視庁警視の櫻井裕一氏は「犯行グループによって多種多様。決められた共通の暗号ではない」と話しています。
さらに、犯罪ジャーナリストの石原行雄氏によると、スマホの地図アプリでデジタル化して、情報を記録しているということです。
例えば、「田中 男性 一人暮らし 8時~18時留守」などと犯人が把握してしまっていることもあるそうです。
■マーキングのデジタル化 どうすれば?
井上貴博キャスター:
むしろ印・痕跡を残すことが犯行グループにもリスクに思えますよね。
元警視庁警視 櫻井裕一さん:
リスクもありますが、結局、下見役と実行役がわかればいいわけです。指示役が「このマークをつけろ」、実行役に「このマークがついている家を狙え」ということであれば、どんなマークでも、どんな形でもいいんです。
今回公表されたことによって、間違いなく犯人側は「M」「w」「8-20」「R」「〇」は使わないと思います。
例えば、「〇」「△」「□」でもいいし、黒でも、赤でも、青でも、いいわけです。決めたことを、下見役と指示役と実行役がわかっていればいいことなんです。
形などではなく、マークされていれば危ないと思った方がいいと思います。
ホラン千秋キャスター:
マーキングされていれば、「目付けられているんだ」と思えますが、アプリ上に記録されて、誰かとシェアされていたとしたら、知る由もないわけじゃないですか。
防犯面でも、結構限界がありますよね。
元警視庁警視 櫻井さん:
それは本当に怖いです。どうしようもないですね。
元競泳日本代表 松田丈志さん:
デジタル上の情報はいくらでもとれるし、拡散もできると思います。そもそも、家の防犯対策をしっかりやるというところに行き着くのではないかと思います。
元警視庁警視 櫻井さん:
その通りで、自宅に入れないようなことを対策しなければいけないと思います。
■「マーキングなどはない」年末年始“ノビ”に注意
加藤キャスター:
年末年始、特に注意が必要になってくるのは「ノビ」です。
【住宅で発生した侵入窃盗の手口別】
・空き巣 72%
・忍込み(ノビ) 21.9%
・居空き 6.1%
※2023年 警視庁の統計資料より
「ノビ」とは、忍込みのことで、住宅で発生した侵入窃盗の手口別では2番目に多くなっています。
人が寝ている夜間に侵入して金品を奪うもので、財布などの金品が確実にあるため、狙われてしまうということです。
櫻井さんによると、「忍込みは事前の下見やマーキングなどはなく、狙われていることに気づけない」とのことです。
狙われやすいのは、大きな家、広い庭など、お金を連想させるものだということです。
櫻井さんに、対策について聞きました。
「マーキング」については、▼自宅に知らない印がないかどうか確認して、発見したらすぐに消すようにしてください。
また「忍込み」については、▼強化ガラスや2重ロックにするなど、犯人は忍込みにくいと感じたら敬遠するということなので、こうした工夫もした方がいいということです。また▼変な物音がしたら110番通報をしてください。
■寝ているところに侵入…わからないうちに出ていく「ノビ師」
元警視庁警視 櫻井さん:
「ノビ」(忍込み)は、本当のプロの犯行です。1人で行うので、マーキングなどはないと思います。
一方、闇バイトみたいなグループで行う場合は、マーキングが書かれます。
元競泳日本代表 松田丈志さん:
「ノビ」(忍込み)も、12月が多い傾向なんでしょうか。
元警視庁警視 櫻井さん:
結局、お金が欲しいので、お金のない人は年越すために、犯罪に手を染めてしまうこともあります。
ホランキャスター:
例えば寝ているときに、何か異変を感じたり、物音がしたりすると思ったら、どう対応すればいいですか。
元警視庁警視 櫻井さん:
そのときはすぐに110番してほしいのですが、「ノビ師」は起こして縛り上げることは絶対しません。
寝ているところに侵入して、盗んで帰るのがノビ師です。寝ていても、わからないうちに出ていくので、おそらく気がつかないです。
起こしてまで行うのは、闇バイトのようなグループでの強盗です。
井上キャスター:
「ノビ師」は、なぜそのようなリスクの高いことをするのでしょうか。
元警視庁警視 櫻井裕一さん:
「ノビ師」は、それしかできないんですよ。空き巣はできないんです。昼間に行うことはできないんですよね。
寝ているところに侵入して、バックの中の財布を持っていくなどを行います。
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<プロフィール>
櫻井裕一さん
元警視庁 警視
警視庁入庁後 一貫して組織犯罪対策に従事
組織的に行われる凶悪事件 詐欺事件など長年指揮
松田丈志さん
元競泳日本代表
五輪4大会出場 4個のメダル獲得
JOC理事 宮崎県出身 3児の父
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