4月の最終週を「地球を笑顔にするウィーク」としてSDGsの取り組みをお伝えしています。
今回の舞台は、長野市の山間部にある芋井(いもい)地区。
「古民家」と「いも焼酎」で地域のにぎわいを取り戻そうと挑戦を始めた住民を取材しました。
池の上を泳ぐ、およそ100匹の鯉のぼりと桜の競演。
長野市の芋井地区に少し遅い春がやってきました。
この地区に赤い屋根が目印の1軒の古民家があります。
「蔵楽亭水上(くらくてい・みずかみ)」
5月1日にオープンする1棟貸しの宿泊施設です。
小林敬蔵(こばやし・けいぞう)さん:
「天井から全部ケヤキの部屋はなかなかないが、全部ケヤキで出来ている」
施設を手がけた芋井出身の小林敬蔵さん74歳。
「芋井の拠点にしたい」と3年前から空き家となっていた築およそ70年の親戚の家を、改修しました。
かかった費用はおよそ3000万円。
国の補助金も活用しました。
小林敬蔵さん:
「引き戸も昔のまま。これは全部クリーニングできれいにした。こういうところは、今作ると言ってもね、70年前の大工さんはよく作ったよね」
木のぬくもりを感じられる古民家の雰囲気は残しつつも、訪れた人が過ごしやすいよう家具や畳などは新調し、フローリングの部屋も作りました。
小林敬蔵さん:
「昔のままを再現する。海外から・都会から来た人たちに、この自然の良さと建物の調和を見てもらいたい」
標高およそ870メートル、山間部に複数の集落が点在する芋井地区。
人口は、1800人ほどで、この70年余りの間に半分以下に減りました。
小林さんは、宿泊のほか、地域の拠点としても活用し、移住・定住に繋げたいと考えています。
小林敬蔵さん:
「本当に子どもの声が聞こえない。だからぜひ、都会からみんなが来て、宿泊体験をしてもらったり、地域のおじさん・おばさんに交流をしてもらったり、昔のようなにぎわいをもう一度作りたいなと、それが私の願い」
小林さんたち住民が取り組んでいることは、ほかにも。
「おはよう、ご苦労さん」
地元住民およそ10人が集まって植え付けていたのは、ジャガイモ=「キタアカリ」の種芋です。
「これ甘いの、結構。糖分あるから焼酎に合う」
芋井の特産品を作ろうと、8年前から地区の名前にある「芋」を生産し、焼酎作りを続けています。
畑は、メンバーが所有する荒廃農地を活用。
およそ120人が芋づくりを続けていますが、メンバーの中には移住者も。
4月に千葉から移住:
「家を探してくれたり、結構動いてくれたのもあって、その恩返しもかねて、こちら(芋井地区)でやっていこうかなと。農業を体験してみたいのもあったし、出来上がるのが楽しみ」
香りが良く、熟成させると、より美味しさが増すという芋井の芋焼酎。
12月からの販売に向けて、準備が始まっています。
小林敬蔵さん:
「これからも頑張っていきたいし、ずっと続けていく方法を考えている。限界集落から消滅集落に足を踏み込んでいるから、もう一度元気な村を作りたい」
芋焼酎や古民家が、芋井を知ってもらうきっかけになればー。
にぎわいを取り戻そうと住民たちの取り組みが続いています。
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