南さつま市では3日から、恒例の「吹上浜砂の祭典」が始まりました。
イベントが始まって37年。砂でつくる芸術の世界に込められた思いとは?

今年で37年目を迎えた「吹上浜砂の祭典」。日本三大砂丘の1つ、吹上浜の砂でつくる芸術イベントです。ことしも南さつま市役所前をメイン会場に、周辺の商店街など3つの会場で開かれています。

今年のテーマは「砂さんぽ~世界の宝物を探しに行こう~」

会場には、世界遺産のイタリアのピサの斜塔や、フランスのモン・サン・ミッシェルなど、あわせて35基の砂像が展示されています。

初日の3日は、多くの家族連れなどが会場を訪れ、砂像と一緒に記念写真を撮る人たちもいました。

(来場者)
「砂なのに細かいところまで作ってあってすごい」

「丁寧な作品を一つ一つ見ていく」

イベントが始まった1980年代。街に大きな転機が訪れた時期でした。

1984年、伊集院と旧加世田市、枕崎を結んでいた鉄道が廃線。1986年には旧加世田市にあった大手製菓会社が倒産します。

そんな暗いムードを吹き飛ばしたい。青年会議所や若手の市職員が着目したのが、当時、アメリカで人気を博していた砂像彫刻、サンドクラフトでした。

1987年、第1回のイベントには、世界の城や寺院などをテーマにした16基の砂像が登場。日本初の砂像アートを目当てに17万人が訪れました。

(立ち上げから携わってきた 本坊輝雄・南さつま市長)「このあまり個性のない街で、加世田の青年たちが立ち上げたこの砂の祭典」「大きな挑戦きっかけになったと思う」

(立ち上げ時の青年会議所理事長 大原俊博さん)「4日間でとにかくこんなに人が来たものかびっくりした、こんな大きなイベントは(旧加世田市で)初めてだったと思う」

その後、2度の世界選手権も開かれ、砂の祭典は名実ともに県内最大級のイベントに成長します。

コロナ禍の2021年、人を集めるイベントが難しくなった中、会場を「砂丘の杜きんぽう」から、市役所を中心としたまちなかの3か所へ移転しました。エリアを分散して密をさけるための対策でした。

(本坊輝雄・南さつま市長)「日本に初めて砂像文化が上陸した地としての誇りを持ち、今後も砂の祭典を展開していきたい」

スタートから37年。日本で一番長く続く砂の芸術イベントとして、これからもまちを元気にし続けます。

吹上浜砂の祭典は、あさって5日、日曜まで開催されています。

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