5月2日、大阪市にある北野病院などの研究チームが開いた記者会見で、先天性無歯症の患者向けに開発した「歯生え薬」の治験を今年9月から開始すると発表しました。

どのように歯を生やすのか?その仕組みについて、詳しくみていきます。

■「歯生え薬」の仕組み

南波雅俊キャスター:
夢の新薬「歯生え薬」は、生まれつき歯の本数が少ない「先天性無歯症」の患者向けに開発されました。

加えて、北野病院・歯科口腔外科の高橋克主任部長は昨日の会見で、「後天的に歯がなくなったものについても代用できるのではと」と話しました。つまり、将来的には虫歯やケガなどで歯を失った人にも、永久歯に続く“第3の歯”を生やすことができる可能性があるというのです。

では、どのように歯を生やすのか?その仕組みは、健康な人であれば存在しているという「次の歯を作る芽」を利用するといいます。そもそも、歯が生えている人、先天的に歯が生えていない人にも、歯の根元には「次の歯を作る芽」があるそうです。

ですが、永久歯以降は歯が生えてきませんよね?というのも、この「次の歯を作る芽」が「USAG-1」というタンパク質により成長を阻害されてしまうからです。今回の「歯生え薬」は、その成長を阻害する「USAG-1」の働きをブロックすることで、芽が育つようになるという仕組みなのです。

■治験段階は「フェレット」で検証

治験段階では、フェレットに投与して検証しました。実はフェレット、歯の本数は32本で人間と同じで、さらに「乳歯」と「永久歯」があるなど、歯の種類も似ています。検証の結果、投与前は6本だったフェレットの前歯が、注射で薬を投与した歯の芽が成長して、7本目の前歯が生えてきたということです。

この薬については、9月から成人男性を対象に治験をして、薬の安全性を確かめていくそうです。その後、先天性無歯症の子どもの患者を対象に使用していくということです。

■義歯やインプラントに続く、新たな選択肢になる可能性

山内あゆキャスター:
次の歯の芽というのは、誰にでもあるものでしょうか?

南波キャスター:
基本的には誰にでもあるそうです。私たちにもありますし、もともと歯が生えてこない人でも芽がある方はいらっしゃるということです。

治験の段階は点滴で、薬が安全かを確かめますが、治療に使うときは、「次の歯になる芽」にピンポイントに注射をして、そこから歯を生えるようにするということです。

山内キャスター:
では、歯がないところに生やすことができるかもしれないということですね。

南波キャスター:
そういう可能性があるということです。

日比キャスター:
口の健康というのは本当に、すべての健康につながっていきますからね。

産婦人科医宋美玄さん:
特に年を取ってからはそうなので、夢のある話ですよね。

南波キャスター:
歯がない方には義歯やインプラントしか選択肢がなかったところ、今回の薬は新たな選択肢になってくる可能性があるということで、非常に注目されています。

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宋美玄さん産婦人科医2児の母女性の健康などのテーマを発信

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