大阪地検元トップが、6年前、部下の女性へ性的暴行を加えた罪に問われている事件で、被害者の女性検事が午後2時から会見を開いています。

 女性検事は声を震わせて、「被害申告をして、大切なものをすべて失ってしまった、組織のトップの性犯罪を訴えることは、これほど怖ろしく、これほど傷つけられるとは思っていなかった」と話しました。

 起訴状によりますと、かつて大阪地検のトップの検事正をつとめ、現在は弁護士の北川健太郎被告(65)は、2018年9月、大阪市北区の官舎で、酒に酔って抵抗できない状態だった当時の部下の女性検事に対し、性的暴行を加えたとして準強制性交の罪に問われています。

◆初公判では「争うことはいたしません」

北川被告は、10月の初公判で起訴内容を認め、こう述べていました。

「公訴事実を認め、争うことはいたしません。被害者に対して重大で深刻な被害を与えたことを心から謝罪したいと思います」「検察庁はじめ関係者に、多大なるご迷惑をおかけしたこと、世間を騒がせたことを申し訳なく思っております」

◆一転無罪主張「同意あると思っていた」

ところが10日、北川被告の新たな弁護人が会見を開き、今後の裁判では、「無罪を争う方針」と述べました。

 弁護人は
・女性検事が抵抗できなかった状態という点には合理的な疑いがある
・北川被告は、女性の同意があると思っていた、そのためなく犯罪の故意なく無罪だ、と主張しました。

では、なぜ初公判では認めていたのでしょうか。

 弁護人は、北川被告は捜査段階から現在まで一貫して「同意はあると思っていた」認識だとし、初公判での発言は、「これ以上関係者や検察庁に迷惑をかけたくなかったため」と説明しました。


◆女性検事は会見で声震わせ

 この翌日、11日午後に女性検事は会見を開きました。女性検事は「性犯罪の被害申告するのがどれほど過酷で、深刻か、知ってほしい」と話しました。

 特に弁護人が会見で「同意があると思っていた」と主張を一転させたことについて、「性犯罪事件で、どのように主張すれば無罪判決を得やすいかを熟知した(元検察官である)被告らが、姑息な主張をして無罪をあらそうことは、私だけでなく、性犯罪被害に苦しんでいる方々をどれほどの恐怖や絶望に陥れ、被害申告を恐れさせるか。そして今後、多くの性犯罪者に『同意があった』と主張させて、性犯罪を撲滅させるどころか、むしろ助長させることになる。」と強く非難しました。


◆検察側の指摘「これでお前も俺の女だ」

 裁判をめぐり、検察側の冒頭陳述では当時の概要がこのように指摘されています。

 事件当日は”検事正の就任祝い”として懇親会が開かれ、北川被告は泥酔した女性をタクシーに押し込んで自らの官舎に連れて行ったといいます。

 女性は気が付くと、性的暴行を受けていて、「帰りたい」と懇願したら、北川被告から「これでお前も俺の女だ」と言われたとされています。

 元大阪地検トップの性犯罪を問う裁判。主張が大きく変わったことで、今後はまず、期日間整理手続きで双方の主張が整理される見込みです。

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