政治資金規正法の再改正をめぐり、国会で論戦が始まりました。石破総理は企業・団体献金の禁止について「憲法に抵触する」と反論しました。

■企業・団体献金めぐり 石破総理「憲法に抵触する」

10日から与野党の本格論戦が始まった今年度の補正予算案。
「能登の復興支援」や「政治改革」などが議論される中、立憲民主党が迫ったのが企業・団体献金の禁止です。

立憲民主党 米山隆一衆院議員
「企業献金を禁止すること自体が違憲であるようなことをおっしゃるけど、それは違う」

石破総理
「企業も表現の自由は有しておるわけで、それは自然人たると法人たるを問いません。企業・団体の献金を禁ずるということは、私は少なくとも憲法21条には抵触すると思う」

立憲民主党やほかの野党の一部は、9日、企業・団体献金を禁止する法案を国会に提出。

ところが、10日、石破総理は企業団体献金の禁止は“憲法に抵触する”と反論しました。

政治改革をめぐっては各党、10日朝から慌ただしい動きを見せています。

立憲民主党などは政治資金の透明化に向けた法案を。また、公明党は国民民主党と政治資金をチェックするための第三者機関を国会に設置する法案をそれぞれ共同で提出。

こうした中、正午から始まった政治資金規正法の再改正に向けた特別委員会。

10日は各党が意見を表明しました。

自民党 牧島かれん衆院議員
「政策活動費を法律上、明確に全て廃止します」

立憲民主党 落合貴之衆院議員
「これまでも多額の企業・団体献金が腐敗や癒着構造の温床となり、政策決定を歪めてきました」

野党は、自民党が“政策活動費を廃止する”としながらも、外交上の秘密がある支出などについては非公開にできる余地を残したことに反発しました。

一方で、立憲民主党が企業・団体献金の禁止から政治団体を対象外としていることに、国民民主党などが「抜け道が残る」と指摘。

ただ、国民民主党などが主張する企業・団体献金の完全な禁止については自民、立憲から「憲法違反」との声があがっています。

12月21日に会期末が迫る中、法改正ができるか不透明な情勢です。

■「政治改革」は進むのか?与野党 相次ぎ法案提出も…

井上貴博キャスター:
改革の本丸である、企業・団体献金の禁止。抜け道を塞いだ状態で前に進めることはできるのでしょうか?

自民党は、政策活動費を廃止していますが、外交上の秘密など公開に配慮が必要な支出は認めるとしています。

一方で野党(立憲、維新、国民民主、共産、参政、保守、社民)が提出したのは、例外なく全面的に廃止。

どちらも議席数は過半数に届きませんので、これが今後どう転んでいくのか。

野党でも足並みが揃っていません。
立憲民主党は9日、政治団体を対象外とする禁止法案を「参政党」「社民党」「有志の会」と共同提出しました。

一方、日本維新の会・国民民主党は献金の対象から政治団体を除外しているため共同提出に加わっていません。

野党としては企業団体献金を廃止したいと言っているけれど、抜け道を残したままだと同じようなことができてしまうのではないかということでなかなか先に進んでいきません。

TBSスペシャルコメンテーターの星浩さんは「これまで“数で押す”という考え方は通用しない。しっかり法案を委員会で議論し調整する、新たな国会のあり方に変わりつつある」という側面を指摘しています。

ホランキャスター:
調整しきれるか、足並みも揃っていない、どこも過半数になっていないことを考えると、調整しきれないままズルズルと…ということも考えられますね。

井上キャスター:
ですから、まさにオープンな議論を建設的に行って決められる政治になるのか、数の理論で決められない政治に進むのか。その分水嶺というのがこのニュースなのかもしれません。

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