12月1日に2024-25シーズンの前半戦が終了した女子サッカー・SOMPO WEリーグ。8日には2年連続の決勝進出をかけたWEリーグ クラシエカップの準決勝を控える中、今季出場時間を伸ばしているのが、FW山本結菜選手(21)だ。今季ここまで公式戦3ゴールを挙げるなど好調の背景には、山本選手の覚悟があった。
「一番は『結果が残せている』ということ。今シーズンは『勝負の年』と位置付けているので、その中でスタートとして使ってもらっているのもいい形なのではないかなと思います」
今シーズンはここまでリーグ戦とカップ戦、全15試合に出場している山本選手。高校卒業後、新潟レディースに加入し、4年目の今季を『勝負の年』として覚悟をしているという。その理由を聞くと、彼女はまっすぐと前を見つめて話した。
「来季も『残ってほしい』と言ってもらえるような選手になることを目指してきました。なので、今シーズンを『勝負の年』としています」
兵庫県出身で、幼稚園の頃にサッカーに出会ったという山本選手。
小学校1年生で地元の少年団でサッカーを始めると、高校は親元を離れ、女子サッカーの強豪・常盤木学園高校(宮城県)に進学した。その後、前線でのプレーを評価され、アルビレックス新潟レディースに加入した山本選手。この4年で成長した部分は『守備力』だという。
「今まではフォワードをやっていて、 前からただボールを追いかけるだけでした。ただ、背中で相手のパスコースを消しながらもボールにアプローチして、なおかつ裏を取られずにインターセプトできる距離感、そこを常に取れるかというのが、このWEリーグでは試されていると思うので…
1歩でもずれてしまうとボールを奪われてしまいますし、反対にフリーで前を向ける場面もありますので、やっぱり守備のポジション取りというのは、成長した部分だなと思っています」
試合では前線からボールを追いかける姿が印象的な山本選手。それと同時に、ボールを受けると、キープをして前を向こうとする動きを見せることが多い。
「今は様々なポジションを任されるので、この選手を目標に…というのはありませんが、小さい頃は前線でプレーしていたので、大迫勇也選手(現・ヴィッセル神戸)を目標にしていました」と話す山本選手。身長は156cmと決して大きくないが、ダイナミックな動きで相手をほんろうする姿も見える。
「前進することを監督も目指していて、ゴールに少しでも近づくということはチームみんなで共有しています。簡単にバックパスをするのでは、少しでもチャンスがあれば前を向いて行こうということを意識しています」
以前、チームの練習を取材した際、山本選手は橋川和晃監督から細かいポジション取りやボールの引き出し方など細かい指導を受けていたことが印象に残っていた。
橋川監督は山本選手のプレーについて、どのように感じているのか尋ねてみると…
橋川和晃監督
「自分自身のストロングを持ちつつ、サッカーの全体像を学び、守備の部分をしっかりとやれるようになりました。彼女の特徴である前線で起点になる、時間を作ることができる、ドリブルで運ぶというところで、成長してくれているかなと思っています」
守備の成長で、もともと持っていた自身の特徴であるドリブルやシュートにも磨きがかかっている山本選手。さらに今季はドリブルからミドルシュートを狙うシーンも増えている。それがひとつの形になったのが、9月のリーグ第3節 日テレ・東京ヴェルディベレーザとのゲームだ。
0対3とビハインドの後半46分、山本選手は左サイドから中央にドリブルで持ち込むと、ペナルティーエリアの外側からシュート。高い弧を描いたボールはゴールに吸い込まれた。
「正直、『もう1回打て』と言われると難しいですよね。でも、監督からは『守備はだいぶできてるんだから、あとゴール前だぞ』と言われていて、少し前からゴール前でのシュートの練習を強化していました。うまくミートしてゴールに繋がったのかなと感じています。
とにかくチームが勝つことがやっぱり一番重要だと思っているので、自分のゴールで勝てればいいのですが、やっぱりチームが勝つために最優先に自分がやるべきことは何かということを毎試合考えて臨んでいます」
前線には、川澄奈穂美選手(39)や滝川結女選手(25)らがいる中で、山本選手は先輩たちの背中を見て感じる所があるという。
「結女さん(滝川選手)は足元で受けるのがすごく上手で、ターンであったり、相手を見て『次どういうプレーをしようか』ということを常に考えているので、とても参考になります。
ナホさん(川澄選手)はやっぱり走力ですね。後半になっても、どれだけ走れるの?というくらい、いつもチームのために走ってくれて。スプリント数もやっぱり、みんなと桁が違いますし、 そういう先輩方の背中を見ると、もっと頑張ろうと思います」
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