読谷村高志保の国道沿いに、「ま」の一文字が目を引くコンクリート造りのモダンな建物がある。生鮮食品から日用品、健康志向を意識したオーガニック商品など幅広いアイテムが並ぶ「まつだ商店」だ。長くこの地で営業し、2020年に閉店していた店を、高志保出身の男性らが去年リニューアルし、復活させた。
木を基調とした店内には、昔ながらの沖縄の商店の懐かしさがある。新鮮な魚や地元産の精肉までそろう。お店作りのこだわりは “ワクワクする空間づくり” だ。
▽まつだ商店 照屋雅文 店長(33)
「読谷村ではここにしか置いていないような商品を中心に集めて、買い物に来た時に “珍しい商品があるな” と楽しんでいただける商品を選んでいます」
店長の照屋雅文さんは読谷村出身。店を復活させたきっかけは、地元の高齢者の声だった。2020年まで67年間、この場所で親しまれていた「スーパーまつだ」が閉店し、買い物難民の方が出ているという声を聞いた。
「私自身介護の仕事をしていて買い物に困っている方を身近で見ていたので、何かできないかなと思っていた。義理のお父さんと意見が一致して、一緒にここを『まつだ商店』として、店をやろうじゃないかと」
照屋さんの義理の父が「スーパーまつだ」の事業を承継。照屋さんも経営に参画し、去年7月に「まつだ商店」としてリニューアルオープンした。再出発した店のコンセプトは “令和のマチヤグヮ” だ。(マチヤグヮ=雑貨店)
昔ながらの商店の良さを残しながら、時代の変化に合わせた店づくりをする「まつだ商店」は、幅広い世代から人気を集めている。
▽近所に住む高齢者
「まつだ商店ができてから安心。家も近くだから。助かります本当に」
観光客も訪ねてくる店になった。
▽観光客
「素敵なもの、本当に良いものがいっぱい。スタッフの方がとても明るくていい笑顔されていて、気持ちのいい方がいっぱい」
島の言葉で “ゆんたく” 、スタッフとの他愛のないおしゃべりも、魅力の一つだ。
入居する鮮魚店や精肉店では、マチヤグヮの特徴、店の人と会話しながら買い物する「相対売り」を大切にしている。友人をもてなそうと魚料理を計画するお客さんがやってきた。会話を聞いてみると…
【鮮魚店の店主とお客さん】
「 “ビタロー” って、なんですか? 」「バター焼きがメインの方がいいかな」
客の希望を聞いて魚を選ぶと、あっという間に捌いて包んでくれた。
▽買い物客
「前の『スーパーまつだ』のときからたまに利用していて、その建物が何に変わるんだろうとずっと気になっていた。こんな商店になるとは思っていなかったですけど、すごく利用させてもらって、今はなくてはならないくらい助かっています」
つながりを大事にしたいという思いは、店の外へと飛び出す。商品を車に積み込み、店長の照屋さんが向かった先は―
【照屋雅文店長・配達を受け取るお客さん】
「伊良皆さんこんにちは~、お届けに参りました」「いつもありがとうございます。重かったでしょ」「任せてください」
店長として店に立つ傍ら、自分では買い物に行くことが難しい地域のお年寄りに商品を届ける。
――照屋さんはどんな存在ですか?
▽配達を受け取るお客さん
「助かっています、ありがとうございます。いずれは村長にしたいと思うくらい(笑)」
▽まつだ商店 照屋雅文 店長(33)
「ちょっと電球替えてほしいとか、棚を動かしてほしいとか。ちょっとしたことはすぐに対応しています。住み慣れた家で健康で暮らしてほしいので」
目指すのは “なんでも屋” 。
地域から頼られ、地域に愛されるお店を、子どもや孫の世代まで長く残したいと語る照屋さんが蘇らせた “令和のマチヤグヮ” が、読谷村高志保に新たな風を吹かせている。
<2024年12月4日放送 RBC NEWS Link『わがまちLink41』より 取材 仲田紀久子>
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